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中国の大手Eコマース企業「JD.com」による、ゲーム領域へのアプローチが興味深い。
Eスポーツが中国で注目されているのは広く知られる。もっとも、Tencent等とは異なり、JDが自らゲームを開発しようというわけではない。Eスポーツ業界との関係性を深め、関連商品を販売するのが狙いだ。
2017年には「ゲーミングフォン」という概念を提唱。ゲーム用に特化したスマートフォンというアイデアだ。当時、中国人の3人に1人は携帯でゲームをプレイしていたという。
消費者(Consumer)からのフィートバックをメーカー(Manufacturer)に提案する「C2M」モデルによって開発。すでにニーズがあることが分かっていれば、商品化もしやすい。
2018年に最初のゲーミングフォンを売り出した時には、すでに45万件を超える前注文が集まっていた。人気は年々高まり、昨年にはTencentやLenovoと協業してゲーミングフォンの開発を加速する方針を打ち出した。
一番のキモはコミュニティからのフィードバックだ。2017年からは自前のEスポーツチームを運営、昨年にはモバイル特化の『JD Esports』チームも立ち上げた。
ゲーム領域はそれ自体が巨大であるだけでなく、若い世代との関係性を深め、彼らから学ぶ機会にもなる。「中国の消費者がゲームについて考える時、まず向かう先をJDにしたい」という。