新たな中期ビジョン
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一方のSBIグループは、4月28日に「新中期ビジョン」を制定。今後3〜5年をフィンテック2.0時代への過渡期ととらえ、その中で実現したいことを明らかにした。
目を引くのが、「連結税引前利益3,000億円超」の達成を目指すという目標だ。新規事業の割合は20%程度とし、グループの各事業でオーガニックな成長も図る。
2021年3月期の税引前利益は1,404億円。直近の4〜6月期は330億円(前年比19%増)だった。通期の業績予想の開示は行なっていない。
税引前利益3,000億円という目標の達成について、5期目の達成で必要なCAGR(年平均成長率)は16.4%であるとし、必要な下限を上回っていることをアピール。
今後は想定する成長率を上回る可能性もあるという。コロナワクチンの普及により日本市場が相対的に強くなる可能性や、投資先銘柄のIPO、M&Aによる新たな収益源の確保を示唆した。

SBI(証券、ネオモバイル、ネオトレード)の預り資産残高は20.5兆円で、口座数で猛追する楽天の12.9兆円を大きく引き離す。SBI証券の口座数は726.4万件と、野村証券を含めた証券業界全体でも群を抜く。
注目は、非連続な成長を生み出すためのM&A戦略だ。直近の社債発行(普通社債800億円、 MTN債300億円)の一部をM&Aにも活用する。対象は既存事業とのシナジー、拡大、グローバル展開の布石となるような企業。FX事業者や暗号資産事業者、M&A専門事業者、資産運用会社などを挙げた。