2021年06月18日 07:10
急成長の裏に貿易戦争
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近頃メディアによく登場する中国発の新興アパレル「Shein」。Z世代を中心に絶大な人気を集め、評価額は300億ドルにのぼるともされる急成長企業だ。

2008年に設立され、現在は日本を含む世界220の国・地域で利用可能。先月には一時Amazonを抜き、「ショッピング」分野において米国で最もダウンロードされたアプリとなった

サイト上には444円のTシャツや778円のスカート、1250円のスニーカーなど格安商品ばかりが並ぶ。自社の生産ネットワークを活用し、1日に数千もの新商品を投入する圧倒的な回転率の高さが武器だ。

貿易戦争で競争力上昇

そんなSheinの業績拡大に一役買ったのが、米中の貿易摩擦である。

2018年、中国政府はD2C企業を対象に輸出税を免除した。米国からの関税引き上げが続く中でも、自国企業の競争力を保つためだ。

米政府は2016年、800ドル以下の商品は輸入税の対象から外していた。貿易戦争のさなかでもこの措置は据え置かれ、Sheinは輸入税も輸出税も払う必要がなくなる。

ZARAやH&Mなど世界の競合と比べ、コスト負担が大きく軽減。強みの「安さ」に磨きをかけ、世界で存在感を高めることに成功した。