20年来の友人
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仏LVMHが追加出資を発表したイタリアの高級靴メーカー「Tod's SpA」。7450万ユーロ(≒90億円)を投じ、3.2%だった保有比率を10%に引き上げた。
Tod'sのディエゴ・デッラ・ヴァッレ会長兼CEOは 「将来的には更なる可能性を検討するかもしれない」 とコメント。買収や追加出資の憶測が広がり、Tod's株は発表前から1割ほど高い水準での推移が続く。
『Tod's』『Roger Vivier』『Hogan』といった高級ブランドを手がけ、靴が売上高の8割以上を占める。創業は1900年、ディエゴの祖父フィリッポが小さな靴製造業者を始めたのがルーツだ。

業績は厳しい。2020年度の売上高は前年比30%減の6.4億ユーロ(≒840億円)、税引前損益は1.6億ユーロ(≒210億円)の赤字。外出制限が厳しい欧米の売上比率が5割強と高く、お洒落で高級な靴ではなく楽に履ける靴を好む消費者が増えた。
4月にはイタリアのファッション系インフルエンサー、キアラ・フェラーニを役員に任命。若者の開拓で反転攻勢を狙うが、先はまだ見通しづらい。
Tod'sのディエゴ会長は2002年からLVMHの役員。ベルナール・アルノーLVMH会長兼CEOとは 「家族ぐるみで20年来の付き合い」 。出資は不振にあえぐ友人への支援という色彩も強そうだ。