幻覚剤開発プラットフォーム
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精神疾患治療向けの幻覚剤開発などを手がける「ATAI Life Sciences」が近くナスダックへ上場する。著名投資家のピーター・ティールも昨年出資した企業だ。
ドイツ人のバイオテック投資家クリスチャン・アンガーマイヤーなどが2018年に創業。ベルリンとニューヨーク、サンディエゴにオフィスを設け、従業員は50人ほど。

ATAIはバイオテック企業への投資を通じ、精神疾患向け治療薬のインキュベートや開発に関与する。薬や技術の利権を取得する代わりに、資金援助や治験の実施、規制面での調整などを請け負うモデルだ。
現在連携する企業は14社ほど。その中には、マジックマッシュルームの幻覚成分「サイロシビン」を用いた創薬を目指す「COMPASS Pathways」を含む。同社は昨年9月にナスダックへ上場し、同じくピーター・ティールが出資している。
まだ当局からの承認にこぎつけた製品はなく、開発した薬・技術からの収益はゼロ。2020年度の営業損益は1億ドルの赤字(前年は1785万ドルの赤字)だった。
精神疾患にかかる人口はアメリカ在住者の50%以上、世界では10億人にのぼるという。ATAIは「幻覚剤の利用などを含む、従来とは異なる方法で解決を目指す」との展望を掲げる。