2021年04月01日 07:00
プラットフォームとしての成長、そして...
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米国のニュースレタープラットフォーム「Substack」が新たに6,500万ドルを調達した。評価額は6.5億ドル。調達ラウンドをリードしたのは既存投資家のアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)だ。

Substackを使うと、簡単にオリジナルのニュースレター(メルマガ)を発行できる。有料課金制にすることもできて、その場合は売上に対し10%の手数料が徴収される。

トップを占める書き手の多くは、独立したジャーナリストだ。一方では競争も激化している。Twitterが競合の『Revue』を買収、サービスを連携させたのは記憶に新しい。

デジタル広告へのアンチテーゼ

Substackは2017年に創業。新聞産業の凋落を引き合いに出し、その背景にはGoogleやFacebookの覇権があることに触れた。

ソーシャルメディアはユーザーの関心を奪うのが仕事だ。無料で参加できる代わりに、利用者は自らの「アテンション」を差し出す。その威力たるや凄まじく、既存メディアの収益モデルはすっかり崩れてしまった。

解決策として、Substackが提案したのが「読者から直接料金を受け取る」サブスクリプションモデル。そこで重要なのは、書き手と読者の信頼関係だけだ。

この3年の取扱高は何百万ドルにものぼる。課金する読者は50万人を超え、上位10のパブリッシャーは年間1,500万ドル超を売り上げる。

「金融サービス」への展開

一方では批判もある。中でも目立つのが、新たな書き手に大きな「前払金」を払うことへの批判だ。

それは、書き手が自立するまでの無利子キャッシング(cash advances)として(実験的に)始まった。その後のレベニューシェアで返済される仕組みだったが、これではSubstack側のリスクが大きすぎる。

こうして辿り着いた仕組みが「Substack Pro」だ。

そこでは、書き手が初年度を生きるのに十分な金額を前もって受け取る。その代わり、売上高の85%はSubstackのものだ。2年目以降は、通常通り10%の手数料体系に戻る。前払金は25万ドルにのぼったこともあるという。

初期の書き手には、これに腹を立てるものもいる。読み手を順位付けするマーケットプレイスとしての一面もあり、Substackが支援する書き手が優遇されるとの批判が目立つ。

プラットフォームとしての規模が拡大するほど、Substackが持つ影響力は強まる。成長すればするほど、今回のような懸念は増えそうだ。