「中国の検索」を長年支配してきたBaiduが、その検索で稼ぐことを自ら抑え始めました。祖業の広告というエンジンを緩め、別の何かへ重心を移す——2026年4〜6月期の決算説明会で経営陣が語ったのは、そんな大胆な構造転換の中間報告です。
同社の収益の重心は、「人が検索する回数」から「企業がAIを動かす計算量」へと移りつつあります。この転換は掛け声ではなく、AI関連事業が中核事業売上の半分を占めるところまで既に進みました。しかも全社売上が減るなかでの主役交代です。
牽引役はAIクラウド基盤です。なかでもGPUクラウドの売上は前年同期の約4倍に急拡大しました。創業者のロビン・リーCEOは、10年以上かけて育てた自社製AIチップを差別化された競争力の源泉と位置づけ、その分離上場の準備も水面下で進んでいます。

ただし移行に痛みは付き物です。広告には下期も圧力が続き、急成長してきたロボタクシーには思わぬ急ブレーキがかかりました。検索の雄は、何で稼ぐ会社へ変わろうとしているのでしょうか。説明会の攻防から読み解きます。
今回の決算で最も勢いを見せたのはAIクラウド基盤事業でした。売上高は前年同期比50%増と、数四半期にわたり業界平均を上回る成長を続けています。売上と利益がそろって伸び、利益率も前年から改善しており、量と質の両面で事業の健全性が高まっていると経営陣は強調しました。
中核はGPUクラウドです。売上は前年同期比283%増とほぼ4倍に達し、3桁成長は4四半期連続となりました。前回(2026年1〜3月期)の決算説明会で示した184%増から、さらに加速した計算です。利益率の高いGPUクラウドの構成比上昇が、クラウド事業全体の収益力を底上げしています。

需要のすそ野も広がっています。オンラインゲームやEC、生活系コンテンツの大手既存顧客が利用と支出を積み増す一方、新規顧客も規模を問わず増えました。特にロボットなど実世界で動く「エンボディドAI」向け売上は約6倍に急増し、自動運転やスマートフォン、金融まで業種の広がりが鮮明です。
モデル提供基盤「Qianfan(千帆)」も跳ねています。外部顧客によるトークン利用収入は前年同期比で9倍超に拡大しました。AIクラウド事業を統括するドウ・シェンEVPは、足元の需要動向と顧客パイプラインを踏まえ、下期も高成長を維持し一段と加速する可能性があると自信を示しています。
説明会で存在感を放ったのが、自社開発AIチップの「Kunlunxin(昆侖芯)」です。10年超の歳月をかけて3世代のチップを商用化し、足元では大規模推論に最適化した最新チップM100を投入、次世代のM300sも控えます。対応モデルもKimi K3やGLM5.2など、中国主要モデルの最新版へ相次いで広げました。