CoachやKate Spadeを展開するTapestryが2026年8月13日、2026年6月期の通期決算を発表しました。売上高は80億ドルと前年から17%伸び(プロフォーマ・恒常通貨ベース)、EPSは38%増。2年前の投資家説明会で掲げた3カ年目標を、2年前倒しで達成する着地となりました。
けん引役は創業85年のブランド、Coachです。この1年で約900万人の新規顧客を獲得し、その中心はZ世代でした。「老舗ブランドは若者に見放される」という業界の通念とは逆の現象が、いま同社で起きています。ジョアン・クレヴォワゼラCEOは「最大の機会はまだ先にある」と語りました。
一方、決算説明会でアナリストの関心を集めたのは、直近四半期にハンドバッグの販売数量が前年並みにとどまった点です。成長鈍化の兆しとも受け取れる数字ですが、経営陣は「意図した結果だ」と切り返しました。値引きをあえて減らし、販売の質を優先したというのです。

そしてもう一つの論点が競争環境でした。「我々の業界に参入障壁はない」。経営陣自らそう言い切る市場で、なぜ同社は業界平均を大きく上回る成長を続けられるのか。説明会で明かされたのは、目に見えない場所に築かれつつある「壁」の存在でした。