鉄道の破綻から生まれた「何もしない」企業、テキサス・パシフィック・ランド

Texas Pacific Land Trust

1888年、米テキサス州で一つの信託が誕生しました。破綻したテキサス・アンド・パシフィック鉄道の債務処理のため、その巨大な土地を引き継いだ「テキサス・パシフィック・ランド・トラスト」です。土地を少しずつ売却して債権者と受益者に分配し、いずれ解散する。それが設立時に与えられた役割でした。

ところが、この清算信託は解散しませんでした。売れ残った西テキサスの乾燥地帯の地下に、後に世界最大級の産油地帯となるパーミアン盆地が広がっていたためです。20世紀初頭のテキサス石油ブーム以降、土地は「売る」より「持ち続ける」ほうが合理的な資産に変わりました。

その後継企業である現在のTPL(Texas Pacific Land Corporation)は、西テキサスに約88万エーカーの地表権を保有。東京都よりも広く、約1.6倍に匹敵する大きさです。企業としての収益性は非常に高く、2025年には売上8億ドルに対して5.9億ドルの営業利益を稼ぎました。

2026年1〜3月期の売上高は2.37億ドルと、四半期として過去最高を更新。石油から始まった同社ですが、現在ではAIデータセンターの恩恵も受けています。138年前の「失敗の後始末」から生まれた会社は、どのように価値を生み続けているのでしょうか。

「何もしない」ビジネスモデル

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