Synopsysが発表した2026年2〜4月期決算は、売上・利益ともに会社の見通しを上回り、通期予想の引き上げにつながりました。半導体の主役はNVIDIAなどのチップメーカーに見えますが、そのチップを設計するソフトを握るのは、表に出ないこの会社です。AIがチップを複雑にするほど、設計の土台を担う立場の重みが増しています。AIブームの本当の受益者は誰か――その問いがここにあります。

サシーン・ガジCEOは決算説明会で、事業の底堅さに触れたうえで「いくつもの転換点がある」と述べました。安定した必須事業を抱えながら、その稼ぎ方を変えようとしている局面だという見方です。これまで安く価値を提供してきた会社が、いま何を変えようとしているのでしょうか。その答えは、AIがもたらす需要の変化と結びついています。
今回の四半期の売上は22.8億ドルでした。設計ソフトを扱う中核事業が前年比8%増と伸び、これまで低迷していた回路部品の事業も底入れの兆しを見せています。ただし、その伸びは半導体全体に一様なものではありません。
設計が自動化されれば、ソフトを動かす人手は減っていくはずです。ところがSynopsysは、その流れの先にむしろ商機を見ています。これからこの会社の製品を動かすのは、いったい誰なのか。その答えは、決算の細部に表れています。