ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス(HLT)が4月28日に発表した2026年第1四半期決算は、RevPAR(客室1室あたり売上)が前年比3.6%増、調整後EBITDAが9.01億ドルで前年比13%増と、いずれもガイダンス上限を上回りました。通年RevPAR成長率の見通しも2〜3%に上方修正されています。

クリストファー・ナセッタCEOは決算説明会で、自身が数四半期前から提唱してきた独自のマクロ仮説について「ついに明確に来た」と総括しました。「業界がいま何かを掴みかけている」と語る同氏の発言の根拠は、後段で詳しく見ていきます。
その総括と並んで注目を集めたのが、AI戦略をめぐるくだりでした。ヒルトンは今四半期、Anthropicと共同開発した旅程提案ツール「Hilton AI Planner」を自社サイトに搭載した上で、Googleの「Gemini」とOpenAIの「ChatGPT」とも同時に連携を進めています。通常であれば競合関係にあるAI大手3社が、同じ業界の同じ相手と揃って手を組む例は限られます。
旅行業界では、消費者がAIで宿を探す時代になれば、ホテルブランドは消費者との接点を奪われる側に回るとの見方が支配的でした。ところが現実は逆方向に進んでいます。なぜホテル会社のヒルトンが、AI3社から同時に組まれる立場に立てているのか。その答えと、ヒルトンが10年近く前から仕込んできた布石を本文で見ていきます。