ウクライナ、イスラエル、対イラン作戦。過去2年、世界で起きた紛争で繰り返し名前が挙がってきた兵器があります。F-35戦闘機、パトリオット迎撃ミサイル、THAAD。いずれも米ロッキード・マーティン製です。同社の製品は実戦で次々と成果を上げ、各国政府からの引き合いは記録的水準にあります。
ところが2026年4月23日に発表された同社の第1四半期決算は、市場予想を下回るものでした。1株当たり利益はアナリスト予想を0.29ドル下回り、売上高も予想未達。注文を山積みにしているはずの世界最大の防衛企業が、業績では足踏みするという奇妙な構図がそこにあります。
なぜなのか。ロッキードの経営陣(エヴァン・スコットCFOら)は説明会で、現場が抱える課題を率直に語りました。新型F-16の飛行試験トラブル、輸送機C-130の部品供給制約、基幹システム切り替えの影響。需要は記録的水準なのに、現場の手が回らない。世界最大の防衛企業ですら例外ではない構図が見えてきます。

ただ、今回の決算が示したのは足元の業績の話だけではありません。ミサイルの3〜4倍増産、工場20カ所の同時立ち上げ、米国防総省との異例の長期契約、新興スタートアップとの連携。伝統的な防衛大手の在り方そのものが、いま大きく変わろうとしています。本稿では4つの切り口から、その構造変化を読み解いていきます。