オランダの半導体製造装置メーカーASMLのメモリ顧客の多くは「年内出荷分は完売」と宣言し、ロジック(演算用チップ)側でも先端ノードの供給制約は2026年以降も続く見通しです。AIが切り拓いた空前の需要に、最先端チップの製造装置を作るASMLの供給能力が追いつかない。同社が4月15日に発表した2026年第1四半期決算は、この需給逼迫を装置メーカー側から映し出した内容でした。
数字を見れば好調そのものです。売上88億ユーロ、粗利率はガイダンス上限の53%に着地し、通年売上見通しも360億〜400億ユーロに引き上げ。メモリもロジックも顧客の設備投資は加速しており、フーケCEOは「当面の間、需要が供給を上回る状態が続く」と語りました。
ただ、複数のアナリストが繰り返し問うたのは好調な数値そのものではなく、この需給ギャップをASMLがどう埋めるかという供給側のストーリーでした。主力EUV装置の出荷は2025年の44台から2027年に「少なくとも80台」へ。台数では1.8倍の伸びですが、CFOはこれを「2025年比で2倍の処理能力」と言い換えました。1.8倍と2倍──この差にこそ、ASMLの供給拡張の仕組みが凝縮されています。

好況のはずなのに翌四半期の利益率見通しが下がる謎、そしてCEOが「我々はボトルネックにならない」と異例の強さで宣言した背景。今期決算から浮かび上がる、ASMLが「装置を作る台数」の枠を超えて供給能力を拡張する4つのレバーを読み解きます。