スタンガンから「公共安全のOS」へ。米国企業アクソンが描く「緊急通報」のAI化とは
かつて「テーザー」の名で知られたスタンガンメーカー「アクソン」(Axon Enterprise)をご存知でしょうか。スタンガン自体は類似する代物が戦前から存在しましたが、1974年にテーザーが登場しことで、広く認知されるようになりました。
そんなアクソンは現在、公共安全のインフラを支えるテクノロジー企業へと変貌を遂げています。例えば、警察官が身につけるボディカメラなどのハードウェアを提供。クラウドベースの証拠管理システムやAI解析ツールにも展開することで「公共安全のOS」としての地位を確立しつつあります。

2024年の売上高は20億ドルを突破し、税引前利益は3.8億ドルを超えるなど拡大基調です。特筆すべきはソフトウェア・サービス部門の成長で、2025年7〜9月の売上高は3億ドルを突破(前年比41%増)。売り切り型からSaaSモデルへの移行が進み、ARR(年次経常収益)は13億ドルに達しました。
成長の次なる柱として掲げるのが、米国の緊急通報システム「911」(日本における110番/119番に相当)の刷新です。従来のアナログな電話対応にAI技術を導入し、通報から現場到着までの時間を劇的に短縮することが目標。直近では通報システム企業を買収するなど、積極的な打ち手を推し進めています。