迅速診断キットや創薬プラットフォームなど!利益率の高い医薬・ヘルスケア企業社にみる高収益の仕組み
今回の記事では、医薬品・ヘルスケア業界で高い利益率を誇る注目企業5社を紹介します。面白いもので、高収益の裏側には各社独自の「ビジネスの仕組み」が隠されています。各社の事業モデルと今後の展望について、見ていきましょう。
次に紹介するのは、東京大学発のバイオベンチャーとして名高いペプチドリーム(4587)。独自の創薬開発プラットフォームシステム「PDPS」を中核技術として2006年に設立されました。2013年に東証マザーズへ上場、2015年には東証一部へ市場変更するなど成長を遂げています。
現在は、「創薬開発事業」と「放射性医薬品事業」の2つのセグメントを柱に展開しています。創薬開発事業では、世界の製薬企業を顧客に、特殊環状ペプチド(中分子医薬)を用いた創薬共同研究や技術ライセンスを提供。一方、放射性医薬品事業では、がんやアルツハイマー型認知症などの診断薬・治療薬を開発・製造し、国内の医療機関へ販売するなど、ペプチド創薬のグローバルリーダーとしての地位を確立しつつあります。

2024年12月期の実績は、売上収益466億7,600万円に対し、営業利益は211億1,300万円。営業利益率は45.2%という極めて高い水準となりました。高収益の源泉は、PDPS技術のライセンス供与や共同研究から得られる契約一時金・マイルストーン収入といった原価率の低いビジネスモデルにあります。加えて、放射性医薬品事業による安定的な製品売上が経営基盤を支え、研究開発への再投資を可能にする「ハイブリッド・ビジネスモデル」を確立しているのが特徴です。
直近では、千葉県のかずさアカデミアパークへの新工場建設や、川崎本社の敷地内への新研究棟建設を発表し、製造・研究開発機能の拡張を進めています。2025年12月期の通期業績予想については、売上収益490億円、営業利益216億円を見込んでおり、中長期的には売上高1,000億円の達成を目標に掲げています。独自のハイブリッド戦略により、さらなる成長を目指す構えです。
次に紹介するのは、感染症迅速診断キットを主力とするタウンズ(197A)です。1987年に静岡県で創業して以来、特別な分析機器を必要とせず、患者の傍らで即座に診断結果が得られる「POCT(臨床現場即時検査)」領域に特化して技術を磨いてきました。2024年6月には東京証券取引所スタンダード市場への上場を果たし、診断薬のパイオニアとして新たなフェーズに入っています。