営業利益3.3倍のV字回復。日常に潜む”香りの巨人”、高砂香料工業の戦略
私たちが日常的に使用する化粧品や洗剤、食品や飲料には多彩な「香り」が使われています。その多くは、専門の香料メーカーによって開発・製造されたもの。今回取り上げる高砂香料工業は、そうした「香り」をBtoB(企業間取引)で提供する、香料業界の国内最大手企業です。
その高砂香料工業が、2025年3月期に大幅な業績回復を実現しました 。売上高は前期比17%増の2,292億円 、営業利益は同225%増の153億円 、当期純利益は同394%増の133億円。前期の落ち込みから一転して力強いV字回復を示しています。

同社の事業は、食品に使われる「フレーバー」や香水・日用品向けの「フレグランス」などを扱う香料事業が中核。知る人ぞ知るグローバル企業であり、売上高の約七割はアメリカ、欧州、アジアなどの海外市場で生み出されています。
今回の記事では、高砂香料工業がどのようにして生まれ、日本を代表する香料企業に成長したのかを紐解きます。その上で現在のビジネスモデルや、今後の成長戦略についても考察。「Vision 2040」 という超長期ビジョンに向けて、彼らはどのような戦略を描いているのでしょうか。