日本製鉄のM&Aによる事業ポートフォリオ変革の軌跡
2025年6月、日本製鉄は米鉄鋼大手U.S.スチールの歴史的な買収を完了。
「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」という壮大なビジョンに向け、同社はM&Aを重要な戦略ツールとして駆使し、事業ポートフォリオを拡大させてきました。
本記事では、過去のM&Aという「事実」の連なりを丹念に追うことで、日本製鉄が描くグローバル戦略の紐解いていきます。
日本製鉄の現代の事業戦略の礎は、2012年10月1日に実施された新日本製鐵と住友金属工業の歴史的な吸収合併にあります。この統合により「新日鐵住金株式会社」が誕生しました。
この大規模な再編は、グローバル市場での競争が激化する中、両社の経営資源とそれぞれが得意とする領域を融合させ、相乗効果を追求することを目的としていました。

国内の生産基盤の効率化と、海外事業の拡大に向けた強固な経営体質を構築し、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指すという明確なビジョンが掲げられていました。
統合後、同社は国内事業ポートフォリオの最適化を加速させます。これは「鉄」を中核とする事業の競争力を一層高めると同時に、周辺事業の再編を進める「選択と集中」の戦略として実行されました。