値上げ効果で「JT」が好調。医薬事業を売却し「加熱式」新製品への投資を進める
日本たばこ産業(以下、JT)が株式市場において好調を博しています。5年前と比べた株価水準は二倍以上、2025年に入ってからも17%を超える上昇となっています。7月31日に発表した上期決算も堅調で、売上収益は1.7兆円(前年比10.5%増)、営業利益は4,799億円(同10.9%増)でした。
好調な業績を牽引するのは、主力のたばこ事業です。同社は要因として、フィリピンやロシア、英国などを中心とした多くの市場での「力強いプライシング効果」を挙げます。2024年に買収を完了した米国Vector Groupの業績が加わったことも、トップラインの成長に貢献しました 。

伝統的な燃焼性たばこ事業が安定した収益基盤となる一方、RRP(Reduced-Risk Products)事業も成長。RRP全体の販売数量は前年比で約20%増加しました。特に加熱式たばこは、新型デバイス「Ploom AURA」の国内での好調な立ち上がりもあり、販売数量を29.5%伸ばしました。
2025年5月には医薬事業を塩野義製薬に承継することを発表、事業ポートフォリオの再編にも着手しました。積極的な株主還元でも知られるJTですが、今後どのような経営を進めるのでしょうか。本稿では、最新の決算資料からその戦略を読み解きます。