2兆円超のM&A戦略、ルネサスエレクトロニクスはいかにしてプラットフォーマーへ転換するのか

ルネサスエレクトロニクス

2024年8月1日、ルネサス エレクトロニクスは、電子機器設計ソフトウェアを手がけるオーストラリアのAltium Limitedの買収を完了しました。買収総額は約91億豪ドル。半導体という「ハードウェア」を主力としてきた企業による、大型ソフトウェア企業の買収です。

この一見、事業領域を大きく超えた一手は、何を意味するのでしょうか。

その答えの糸口は、2010年にNECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが経営統合して発足して以来、同社がM&Aを通じてダイナミックに事業ポートフォリオを変化させてきた歴史の中にあります。

本稿では、ルネサスのM&Aの軌跡を4つのフェーズに分け、公開情報からその戦略の変遷を紐解きます。

経営統合後の「選択と集中」と事業基盤の再構築(2010〜2015年)

2010年、NECエレクトロニクスとルネサス テクノロジが経営統合し、ルネサス エレクトロニクスが設立されました

しかし、その船出はリーマンショック(2008年)後の世界的な半導体不況という逆風の中でのものでした。さらに2011年3月には東日本大震災が発生し、複数品目を生産していた那珂工場(茨城県ひたちなか市)が被災するなど、サプライチェーンに深刻な影響を受けます。

このような経営環境を受け、ルネサスは事業の「選択と集中」を断行します。この時期のM&Aは、成長分野への投資よりも、ノンコア事業や生産拠点の整理による事業基盤の再構築に主眼が置かれました。

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