【サーキュラーエコノミー関連銘柄】都市鉱山からLiBリサイクルまで
資源の有限性と環境問題への意識が高まる中、従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」という経済モデルからの脱却が、世界的な課題となっています。
その解決策として、廃棄物を「資源」と捉え、循環させることで新たな価値を生み出す「サーキュラーエコノミー（循環型経済）」への移行が、今まさに加速しています。
本記事では、こうした多様なアプローチでサーキュラーエコノミーの実現に挑むプレイヤーたちをリストとして紹介します。
個々の企業の詳細な戦略分析や最新の動向については、Strainerの特集記事や開示検索機能をご活用ください。
"都市鉱山"からレアメタル等の回収を行う「松田産業」
松田産業は、貴金属と食品という二つの領域で事業を展開するユニークな企業です。
同社は、廃棄物を「都市鉱山」と捉え、そこから価値ある資源を再生させるサーキュラーエコノミー（循環型経済）を事業の核としています。
貴金属関連事業では、スマートフォンやPCなどの電子廃棄物（E-waste）から金などの貴金属を高効率で回収・精錬。アジア最大規模の都市鉱山型貴金属精錬会社として、リサイクルした貴金属を再び産業用の製品として供給する、一貫した体制が構築されています。
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近年は、EVや電子機器の普及で将来の重要課題となる、使用済みリチウムイオン電池からのコバルトやニッケルといったレアメタルの回収へも拡大。自治体や他社と連携し、その効率的なリサイクルプロセスの実証試験が進められています。
さらに、医薬品のPTPシートを再資源化するなど、これまでリサイクルが困難とされてきたニッチな分野への挑戦も特徴です。
同社の取り組みは、CDPの気候変動調査で最高評価「Aリスト」に選定されるなど、外部からも高く評価されています。
貴金属リサイクルの高度な技術を持つ松田産業は、資源の少ない日本において、持続可能なものづくりと社会の実現に貢献しています。
＞＞ 松田産業の企業情報
廃棄物を価値ある資源へ生まれ変わらせる「ダイセキ環境ソリューション」
ダイセキ環境ソリューションは、産業廃棄物のリサイクルを核としたサーキュラーエコノミーを推進する企業です。
同社は、廃棄物を単に処理するのではなく、再び価値ある資源へと転換させる「環境リバリューストラクチャー」の創造を推進。
その事業領域は極めて多岐にわたります。
廃食油からバイオディーゼル燃料を、使用済みの機械油から再生重油を製造。また、建設現場で発生する廃石膏ボードや、自治体が回収する廃プラスチックは、それぞれ再生原料や再生ペレット、固形燃料へと再生されます。
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さらに、廃液から有用金属を回収したり、廃鉛バッテリーを再生鉛として供給するなど、多様な資源リサイクルを手掛けています。
同社は、既存のリサイクル事業を深化させるだけでなく、未来の社会課題を見据えた新たな取り組みにも着手。その一つが、将来の大量廃棄が懸念される太陽光パネルのリユース・リサイクル事業です。
有害物の調査からリユース先とのマッチング、そして資源としてのリサイクルまでを総合的にサポートし、来るべき課題への備えが進められています。
また、静岡市と連携し、家庭から出るプラスチック資源を大規模に再商品化する事業も開始。これは、自治体と協働して地域の資源循環を構築する新たな取り組みです。
ダイセキ環境ソリューションの事業は、脱炭素やサーキュラーエコノミーへの移行が進む社会において、関連性の高いものとなっています。
＞＞ 2068年まで拡大「とある廃材」で成長する「ダイセキ環境ソリューション」決算
リサイクル企業であり科学メーカーでもある「三和油化工業」
三和油化工業は、「環境ニーズを創造する」というコンセプトのもと、産業廃棄物の再資源化と化学品の製造・販売を手掛けるユニークな企業です。
同社は、廃棄物を「資源」と捉え、リサイクル企業でありながら化学メーカーでもあるという独自の立ち位置で、サーキュラーエコノミーを推進しています。
その事業の核心は、使用済みの化学品などを回収し、独自の高度な分離・精製技術によって再び高付加価値な製品へと再生させる点にあります。例えば、使用済みの溶剤やリン酸は再生品として生まれ変わり、半導体・電子部品業界などへ供給しています。
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さらに同社は、未来のサーキュラーエコノミー市場を見据え、新たな領域への挑戦を加速させています。EVなどの普及で重要となる、使用済みリチウムイオン電池に含まれるレアメタルの回収もその一つです。
また、半導体産業の集積地である九州に新工場を設立し、半導体メーカーから排出される使用済み化学品の再生事業に本格的に参入しました。これは、地産地消の再資源化を実現する戦略的な動きと言えるでしょう。
三和油化工業は、廃棄物から新たな価値を生み出す独自の技術力を活かし、持続可能な社会への貢献を目指しています。
＞＞ 三和油化工業の企業情報
独自工法でプラント解体を革新する「ベステラ」
ベステラは、電力、製鉄、石油化学といった大規模プラントの解体に特化した専門企業です。
その競争優位性の核となるのが、数々の特許を取得した独自の解体工法にあります。
例えば、球形タンクを渦巻状に切断する「リンゴ皮むき工法」や、煙突などを計算通りに倒す「転倒工法」。これらは、大型重機の使用を最小限に抑えることで、工期短縮や安全性の向上に加え、CO2排出量を大幅に削減できるという、大きな環境価値も提供します。
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ベステラのもう一つの特徴が「持たざる経営」。重機や職人を自社で抱えず、経営資源を工法の開発やプロジェクトマネジメントに集中させることで、高い専門性と柔軟な経営が実現されています。
解体工事で発生する廃材のリサイクルについては、専門企業と提携し、資源循環型社会の実現を目指して、さらなる再資源化に取り組んでいます。
近年では、DXの推進にも注力。3Dレーザースキャナーでプラントを精密に計測し、複雑な構造物の解体計画への活用が進められています。また、「りんご☆スター」のような溶断ロボットの開発も手掛け、作業の自動化・省人化を推進。
今後、耐用年数を迎える社会インフラの解体も想定される中、ベステラは独自の技術力とビジネスモデルで、社会インフラの新陳代謝と資源循環を支えています。
＞＞ ベステラの企業情報
独自技術でリチウムイオン電池の再生を目指す「アサカ理研」
アサカ理研は、廃棄物を「都市鉱山」と捉え、そこから有価金属を再生するサーキュラーエコノミーを推進する企業です。
同社は今、長年培ってきた貴金属リサイクルの技術を応用し、未来の巨大市場である使用済みリチウムイオン電池（LiB）の再資源化を、事業の新たな柱として確立しようとしています。
その戦略の核心は、使用済みLiBから回収したレアメタルを、再びLiBの原料として供給する「"LiB to LiB"」という、完全な資源循環の実現にあります。これは、資源の安定調達と環境負荷低減という、現代社会が抱える大きな課題に直接応えるものです。
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この挑戦を支えるのが、同社独自の高度な「分離・精製技術」。独自の溶媒抽出法により、CO2排出を抑えながら、コバルトやニッケル、そして一般的に回収が難しいとされるリチウムといったレアメタルが高効率で回収されます。再生された原料は、天然鉱物由来のものと比較しても遜色のない品質を誇ります。
同社は、このLiB再生事業を創業の地である福島県で推進しており、地域の産業復興への貢献も目指しています。
貴金属リサイクル事業で培った技術を活かし、アサカ理研はEVの普及などで使用量の増加が見込まれるリチウムイオン電池のリサイクルに取り組んでいます。
＞＞ アサカ理研の企業情報
サステナビリティ経営をワンストップ支援する「アミタホールディングス」
アミタホールディングスは、企業や地域の持続可能な経営・運営を統合的に支援する「社会デザイン事業」を展開。
約45年にわたり培ってきたサステナビリティ分野のノウハウを活かし、無駄を生まない「循環」と、多様なニーズに応える「包摂」の仕組みづくりを通じて、サーキュラーエコノミーの実現を目指しています。
その事業は、単なる廃棄物処理やリサイクルに留まりません。企業のビジネスモデルそのものを、廃棄物やCO₂を出さない持続可能な形へと変革する事業創出・変革プログラム「Cyano Project」がその代表例です。
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ここでは、戦略策定から具体的な実装まで一貫した伴走支援が行われます。また、異業種の専門企業と連携し、製造業のサステナビリティ経営をワンストップで支援するなど、オープンなアライアンスも特徴です。
一方で地域社会に目を向ければ、住民参加型の資源回収ステーションなどを通じ、モノだけでなく情報や「気持ち」も循環させる、独自のコミュニティ形成型資源循環モデルが構築されています。
同社は多様な産業廃棄物を、元素レベルで分析・調合し、顧客のニーズに合わせた高品質な循環資源に変換する高度な技術を保有。現在、デジタル技術を活用した次世代型工場の建設も進められています。
企業や地域に対し、経営の根幹からサステナビリティへの移行を支援するアミタホールディングスは、サーキュラーエコノミーの実現に向けた社会の動きの中で事業を展開しています。
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本記事では、サーキュラーエコノミーに関連する企業をリストアップしてご紹介しました。
しかし、個々の企業の真の価値や将来性を見抜くためには、表面的な情報だけでは不十分です。
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