ユーグレナ2017年3Q決算 売上25%成長、営業利益は48%減

ユーグレナ

「ミドリムシ」ベンチャーのユーグレナの決算が出たので見てみましょう。

2017年9月期第3四半期の業績概要は次の通りです。

・売上高102億円(前年+25%)

・営業利益4.2億円(同-47.8%)

・経常利益6.15億円(同-39.7%)

・純利益4.24億円(同-43.5%)

営業利益率は4%ほどということになります。売上は伸びていますが、利益率が悪化したようです。

売上高の予想進捗率は3Q終了時点で68%。

このペースだと売上予想を達成できないわけですが、引き続き目標達成を目指すとしています。

右下のやつは商品でしょうか。

営業利益の目標進捗率はほぼ半分、経常利益も同じく56%となっています。

売上の内訳と推移です。

こうしてみると、「グループ直販」の割合が大きいことがわかります。

次に大きいのは「OEM・原料・海外」、そのあとに「グループ流通」が続いています。

どういうわけか、「その他」の売上は下期に増加する傾向にあるようです。

販売管理費の内訳と推移です。

販売費の増加は比較的抑えられており、一方で人材費は増加傾向です。管理費も増えています。

対売上高での費用比率の推移をみてみましょう。

販管費は原価以外の費用の合計となっていますので、この中では販管費率が最も高く、60%以上を占めています。

売上原価率は40%弱から30%以下へと減少傾向にあります。

販売費は40%から60%の間で、若干増加傾向。

広告費は30%前後で増加傾向。人件費と管理費はどちらも10%に満たないくらいで、若干の増加傾向です。

研究開発費率は5%以下で、基本的には横ばいです。

事業パートナーとの資本提携の状況です。上の四社はバイオ燃料事業に関する運転資金の調達、最後の一社は健康食品に関する提携ですね。

ヘルスケア事業の状況

現在の稼ぎ頭であるヘルスケア直販事業の状況です。

定期購入社数は右肩上がりに増加し、20万人にまで増えています。

通販化粧品の「one」という製品が好調のようです。

商品ラインナップは引き続き充実を図るようです。

個人的な話ですが、以前にユーグレナの「緑汁」なる商品を飲んだ時には、「味をなんとかして欲しいな」という感想を抱きました。

先日ニュースになっていましたが、ユーグレナは遺伝子検査ベンチャーの「ジーンクエスト」を買収しており、遺伝子検査サービス事業に進出するようです。

遺伝子検査業界では、ゲノムの検査にかかるコストが年々低下しています。ジーンクエストの経営はかなり苦しかったようですが、そういう意味では可能性のある、賢い買収と言えると思います。

ユーグレナの大きな潜在的アップサイドはバイオ燃料事業にありますが、こちらも着々と進んでいるようです。

旭硝子の京浜工場内に7787.6平米にも及ぶ実証プラントを起工。投資総額は58億円ということでなかなか大きなプロジェクトです。

参考までに、東京ドームの面積が46,755平米とのこと。

2018年10月に竣工し、2019年前半には稼働するスケジュールとのことです。

三重県多気町にて、大規模な培養プールが稼働開始したようです。

1000平米ということですが、3000平米まで増設予定とのこと。

そのほか、ブータン王国でキヌア生産に関する事業調査がJICAに採択されたようです。

「世界一幸せな国」として有名なブータン王国ですが、食料問題や農村の貧困問題に喘いでいたのですね。

「キヌア」というのは穀物の一種で、白米と比べて炭水化物の割合が少ない一方、必須アミノ酸のバランスが非常に良いという栄養価の高い食糧とのこと。

バランスシートの状況

最後に、ユーグレナの財政状態をバランスシートから読み解きます。

まずは資産の部です。

資産の合計は全体で184億円。そのうち流動資産が115億円、固定資産が69億円となっています。

流動資産のうち多くを占めるのが現預金で79億円。売掛金などが12億円、商品などが11億円、原材料などが4億円となっています。

固定資産69億円の内訳は、有形固定資産が48億円、無形固定資産が17億円、投資その他の資産は4億円となっています。

有形固定資産の中で大きいのは建築物(16億円)、機械など(10億円)、土地(9億円)、建設仮勘定(24億円)です。そのうち、15億円ほどをすでに減価償却済み。

無形固定資産の多くはのれんで、12億円を占めています。

続いて負債と資本の部です。

負債の合計は31億円ちょっとで、そのうち流動負債が15.7億円、固定負債が15.8億円となっています。

流動負債の中身は、未払金が7.6億円、買掛金が3.4億円、短期借入金が1.5億円など。

固定負債の多くは長期借入金12億円となっています。

純資産の合計は153億円あり、そのうち資本金が54億円、資本剰余金が76億円、利益剰余金が25億円となっています。

製造や研究開発にコストがかかるので、もっと自己資本比率が低いのではと思っていましたが、実際には82%と極めて高いですね。