今年最も騰がった銘柄「フジクラ」高度情報化社会でさらなる成長なるか?
今年の株式市場において、もっとも注目を集めた銘柄の一つが「フジクラ」だ。
フジクラは120年もの歴史を有する、日本の老舗「電線」メーカー。その後は光ファイバ技術など他領域に進出し、凸凹ありながらも成長を続けてきた。今年に入ってからの年初来株価は実に436%もの上昇、時価総額は1.7兆円を超えている。
フジクラの創業者である藤倉善八は1843年、現在の栃木県に生まれた。
元々は農業を営みながら水車による精米業を営んでいたが、1875年に東京へと進出。1881年に「根掛け」(女性用ヘアバンド)の製造を始めた。やがて全国から注文が殺到し、十年ほども盛況が続いたという。
続いて興味を抱いたのが「電燈」だった。1882年に銀座でデモンストレーションが行われ、翌年には2回目が日本橋通りで開催。多くの見物人が集まる中で善八は弟の留吉(初代社長)とともに電気への関心を強めた。
「根掛け」と電線被覆の編組技術が似ていることに気がつくと、電線の製造に乗り出す。1890年には千駄ヶ谷で、紀州徳川家の土地を買収して新工場を建設。水車動力で「ゴム線」の製造を始めた。やがて需要とともに生産能力を拡大し、1910年に藤倉電線(株)が誕生した。
その後も同社は電線を作り続けて発展したが、やがて大きな転機が訪れる。1970年より光ファイバの取り組みを始め、1975年には電電公社との共同開発を行った。その後も開発を進め、現在の「波長多重通信」を実現させた。