ようやくアメリカ企業の2017年決算も落ち着いてきました。
そこで今回は、アメリカのテクノロジー企業31社について「売上高」「営業利益率」「売上成長率」の三つをグラフ化して、全体の規模感を把握しておきたいと思います。
データはこちらから取り揃えました。
まずは、売上高の比較です。
今回取り上げる31社の中で、「100億ドル以上」「10億ドル以上100億ドル未満」「10億ドル未満」の三つに分けるとちょうど良くなったので、そのように分類します。
① 売上高100億ドル以上
まずは、売上高100億ドル(≒1兆円)を超える大企業です。
Appleが最も大きく、2292億ドルの売上をあげています。
続いてAmazonが1778億ドル、Alphabet(Google)が1108億ドル、Microsoftが899億ドル。
売上高500億ドルを超えているのは以上の4社だけです。
続いてFacebook(406億ドル)とOracle(377億ドル)が大きく、100億ドルをちょっと超えたところにPayPal、Booking Holdings、Netflix、Expediaの4社が並んでいます。
② 売上高10億ドル以上100億ドル未満
続いて、100億ドル(≒1兆円)には届かないけど、10億ドル(≒1000億円)は超えているテクノロジー企業です。12社あります。
eBayが95億ドル、Salesforceが84億ドル、Adobe Systemsが73億ドルと、比較的歴史の長い企業が続いています。
それ以外の企業は40億ドルよりも小さく、IAC(33億ドル)、グルーポン(28億ドル)、Twitter(24億ドル)、ETrade(23億ドル)、GoDaddy(22億ドル)、Square(22億ドル)、Fitbit(11億ドル)、Match Group(13億ドル)、Zillow Group(11億ドル)と続きます。
③ 売上高10億ドル未満
そして、売上高が10億ドルには満たないプライヤーたち。成長企業が多いですね。
Splunk(9.5億ドル)、Snap(8億ドル)、GrubHub(6.8億ドル)、Shopify(6.7億ドル)、LendingClub(5.7億ドル)までが5億ドルを超えています。
それ以外はZendeskが4.3億ドル、Twilioが4億ドル、Boxも4億ドル、New Relicが2.6億ドル。
続いて、収益性の指標である営業利益率を比べてみたいと思います。
こちらは「20%以上」「0%以上20%未満」「0%未満(赤字)」の三つに分類。
① 営業利益率20%以上
まずは、営業利益率20%を超える高収益テック企業10社です。
最も高いのはFacebookで、49.7%という水準。ネット証券のE*TRADEも44.97%とかなり高い利益率です。
30%以上はBooking Holdings(35.79%)、Oracle(33.69%)の2社。
Adobe Systems(29.69%)、Match Group(27.09%)、Apple(26.76%)、Microsoft(24.82%)、eBay(23.68%)、Alphabet(23.59%)と続いています。
Match GroupとE*TRADEの2社をのぞくと全ての企業が売上高70億ドルを超えるトッププレイヤーであり、テクノロジー企業にとって「規模」は大きな武器になることが伺えます。
② 営業利益率0%以上20%未満
続いて、20%には達しないけど、営業黒字にはなっているテック企業です。10社あります。
NetflixやAmazon、Salesforceなど「利益は残さずぶっこむ系」の企業が名を連ねています。
PayPal(16.24%)とGrubHub(13.14%)は10%を超えており、この中でも比較的余裕があります。
続いて、Netflixが7.17%、Expediaが6.21%、IACが5.7%と5%を超えています。
残りはGoDaddyは3%、Amazon.comが2.31%、Twitter 1.59%、Groupon1.04%、Salesforce.com 0.77%となっています。
③ 営業利益率マイナス
そして、営業利益率がマイナス、すなわち赤字の企業11社です。
決済サービスのSquare(-2.45)とECプラットフォームのShopify(-7.3)は前年と比べると、順調に赤字を減らしてきています。
続いて、Fitbit(-12.45)、Zillow Group( -15.03)、Twilio ( -16.56)、New Relic (-23.28)、 Zendesk (-26.63)、 LendingClub (-26.66)、 Splunk ( -36.19)、 Box (-37.8)、 Snap ( -422.52)となっています。
Snapは-422%とズバ抜けているのでグラフからは外しています。
注意したいのは、アメリカのテクノロジー企業は株式報酬(ストックオプション)としてハンパでない費用を計上している場合も多く、現金の流出はこれほど激しくない場合が多いことです。
最後に、企業としての勢いを表す売上成長率です。
こちらは「30%以上」「10%以上」「10%未満」の三つに分類してみました。
① 売上成長率30%以上
まずは売上成長率30%を超える伸び盛りの企業です。
やはり、この中では小規模な会社が多いですが、Facebook(47%)、Netflix(32.4%)、Amazon(30.8%)の三社は売上100億ドルを超えています。
成長率ではSnapが103.95%と最も高く、Shopifyが72.94%と続きます。
② 売上成長率10%以上30%未満
続いて、売上成長率10%を超えるテック企業です。
25%を超える高成長企業と、10%ちょい企業が混ざっています。
Square、Zillow Group、Salesforceの三社は成長率25%を超えています。
20%を超えているのはAdobe Systems、Alphabet 、E*TRADE、GoDaddy、PayPalまで。
OTAのBooking HoldingsとExpediaはそれぞれ18%、14.7%の成長率となっています。
③ 売上成長率10%未満
最後に、売上成長率が10%未満のテック企業。
創業から時間の経った成熟企業や、伸び悩んでしまった企業が含まれています。
成熟しているとはいえ、Match Group、eBay、Apple、Microsoft、IACまでは5%を超えています。
TwitterやGrouponは売上が微減、Fitbitは25%も減少する事態となっています。
いかがでしたでしょうか。
31社全てをチェックするのは骨が折れるものなので、こういうまとめが定期的にあると良いのではないかと思いました。
次回は中国や国内のインターネット企業についても比べてみたいと思います。