今回の記事では、動画配信SaaS「Vimeo」の現在について特集する。インターネットを日々お使いの方ならば、おそらくは目にしたことがあろう存在だ。
Vimeoの来歴は一風変わっている。2004年に創業したとき、母体は大学生数名が立ち上げたベンチャー、Connected Venturesだった。そこでの代表サービスは『CollegeHumor』。今なお人気のインターネットコメディ事業である。
YouTubeでのチャンネル登録者数は1,460万人。
CollegeHumorは1999年に数人の大学一年生によって誕生。Webサイトの開発を担ったのがVimeo共同創業者のジェイコブ・ロドウィックだった。2007年のこちらの動画では、若きロドウィックがふざけ回りながら会社の案内をする様子が記録されている。
Connected Venturesは2006年、メディアコングリマリット企業のIACが株式の51%を取得。ここで「偶然」手に入れたのが、動画配信ツールのVimeoだった。当初はロドウィックらのサイドプロジェクトに過ぎず、口コミだけでじわじわと広がっているだけだった。
同じ2006年には、GoogleがYouTubeを16.5億ドルで買収。インターネット動画時代がまさに始まろうとしていた。IAC側も大きな可能性を感じ、ロドウィックらをVimeoに専念させることにした。
CollegeHumor側はやがて経営難に陥り、2020年にクリエイティブ責任者のサム・ライヒが事業を買い取った。同時に100人以上の大規模レイオフを余儀なくされている。
一方のVimeoは、独自の道筋を取った。圧倒的な「量」を糧に急拡大するYouTubeを尻目に、「質」を重視する戦略を選んだのだ。Vimeoは、HD動画をサポートする最初のオンラインプラットフォームとなった。