VTuber事務所『ホロライブプロダクション』を手掛けるカバーが2月27日、東証グロース市場への新規上場を承認された。上場日は3月27日を予定している。
2016年末に『キズナアイ』が登場して以降、バーチャルYouTuberというジャンルは急な拡大を見せた。昨年6月に新規上場を果たしたANYCOLORは『にじさんじプロジェクト』を展開、株式市場でも一躍脚光を浴びた。時価総額は今なお1,400億円を超える。
現在のVTuber領域において、『にじさんじ』と『ホロライブ』は二大巨塔と言える存在だ。当然、新たに上場するカバーの動向にも注目が集まる。
今回の記事では、カバー株式会社が手掛ける事業内容について、開示された資料をもとに紐解く。
カバーの設立は2016年6月。翌年よりVTuberアイドル『ときのそら』誕生を経て、2018年6月に女性VTuberグループ『ホロライブ』の立ち上げに至った。
現在、ホロライブにはYouTubeで7,200万人以上のチャンネル登録数(合算)がある。2022年末時点での所属タレント数は71人。そのうち31名はYouTubeのチャンネル登録者が100万人を超えている。
事業の伸び方は凄まじい。2018年3月期に370万円だった売上高は、2022年3月期には136億円を突破。営業利益は18億円を超え、新たに上場する企業として高い収益力を誇っている。
カバーのVTuberは、同社が開発した配信アプリケーションとアニメルック・アバターを用いて、ゲーム実況や歌唱などのライブ配信を主とした活動を行う。ライブ配信においては、ユーザーのメンバーシップ加入やSuper Chatが主な収益源となるという。
キャラクターIPの開発では国内のクリエイターと協働するが、IP権利はカバーに帰属する。マーチャンダイジング(物販)やライセンスビジネスなどへの「コマース展開」により、さらなる収益化を図る。
同社によれば、立ち上げるまでに長い期間と多額のコストが必要なTVアニメやゲームなどのキャラクターIPと比べると、相対的に低コストで継続的に視聴者との接点を持つことができる。
日常的に多くのファンアートや多言語翻訳コンテンツが視聴者によって作成されるのも、VTuberコンテンツに「深みを持たせている」と同社は言う。切り抜きコンテンツの再生回数は65億回を超えており、新たな視聴者獲得にも寄与していると考えられる。