爆発的に成長する中国の代表的インターネット企業「テンセント」

テンセントは、中国のインターネット企業の中ではアリババと並んで成功している企業です。

「Wechat」「QQ」という2つのメッセージングアプリのほか、ゲーム事業も展開。現在は時価総額が4000億ドルに肉薄するなど、躍進を続けています。

近頃はアリババとテンセントの間で熾烈なマーケティング・キャンペーン戦争が繰り広げられているとも聞きます。

テンセントの歴史

テンセントは1998年に現CEOの馬化腾(Pony Ma:ポニー・マー)によって創業されました。

1999年の2月にはメッセンジャーアプリ「OICQ」を公開。これはその後「QQ」に改名されますが、AOLが保有していた「ICQ」による訴訟を逃れるためだったようです。

最初の3年間は赤字で、2001年に南アフリカのメディア企業「Naspers」がテンセントの株式の46%を購入します。

2004年6月14日には香港証券取引所のメインボードに上場。

当初はQQにおける広告と有料課金のみで成り立っていましたが、2005年にはQQモバイルの課金などで売上を伸ばします。

2011年の初めにはソーシャル・ネットワークサービス「Weixin(微信)」、2012年にはWeixinの国際版として開発したWechatを公開、急速に成長させます。

2002年以降の業績推移です。

2010年前後から爆発的に売上が増え始め、2016年には1500億元(2.4兆円ほど)にまで増加しています。

売上高の主な内訳は「VAS(Value Added Services)」と「Online Advertising」で、それぞれの推移は次の通りです。

全体の売上高1500億元のうち、実に1078億元(1.7兆円)がVASとなっています。

そのうち708億元(1.1兆円)がオンラインゲーム、370億元(6062億円)がソーシャルネットワーク、そして270億元(4423億円)がオンライン広告となっています。

さらに、グラフには載せていませんが成果報酬型広告が157億元(2572億円)、ブランド表示広告が112億元(1835億円)の売上。

実に全体の46%ほどがオンラインゲーム、24%がソーシャルネットワーク、17.8%が広告、11%ほどがその他(決済やクラウド)による売上ということになります。

次に、創業事業でもあるメッセンジャー「QQ」のアクティブユーザー数の推移をみてみましょう。

1999年にスタートしたQQですが、2007年にはすでに月間アクティブユーザー数3億人に達しており、そこから2012年までに8億人にまで増加しています。

続いて、QQに加えてWeChat、Weixin、Qzoneを合わせたグラフもみてみます。

さっき見たようにQQは8億人程度で停滞しており、Qzoneも6億人ちょっとで立ち止まっています。

しかし、真ん中の「Wechat + Weixin」のMAUは2012年には2億人もいなかったのが、一気に8億人を超えるまで増大しています。

テンセントの強力な成長は、Wechat + Weixinの圧倒的なユーザー数の成長にゲームをはじめとした課金サービスによる収益化が合わさったことで実現されているようです。

キャッシュフロー

最後に、過去10年間のキャッシュフローの推移を調べます。

フリーキャッシュフローはほとんど右肩上がりで上がり、2016年には467億元(7652億円)にまで達しています。