コーヒーの老舗で国内首位のUCCホールディングスが、カプセル式ドリップコーヒーに本腰を入れている。世界各地のブランド豆を使うカプセル、マシンの改良を繰り返し、日本での普及を目指す。
消費量の多い欧州の国々では、すでにカプセル式が飲み方の主流になりつつある。湯沸かしや器具の準備など手間は避け、味にはこだわりたい消費者の間で支持を集めてきた。
一方、1杯100円程度のコンビニコーヒーなどが広く普及し、安く手軽に入手できる環境の日本。UCCはどのように新しいスタンダードを構築するのか。
UCCホールディングス傘下のUCC上島珈琲は9月1日から、カプセルコーヒーの商品ラインアップを刷新する。洋梨のような風味の「ホンジュラス&コロンビア」を新たに追加し、全12種類のうち8品では原料選定から見直しをかけた。
味やコクの度合いにより、世界の産地ごとにバランスよく揃えるのが特徴だ。同社は「ブルーマウンテン」のジャマイカや「コナ」の米ハワイ州で自社農園も運営する。産地で研修を重ねた「鑑定士」によるブレンドも用意している。
味わいによって12種類のカプセルコーヒーを品揃えする=UCC上島珈琲
創業から約90年、農園の開拓と生産支援、買い付けや品質検査、焙煎、製品化と消費者に届くまでの各工程を手がけるUCC。しかし「味を大きく左右するドリップは人の手に依存してきた」(PRマネージャーの西川満美子氏)。
そこで「家庭でもよりおいしく飲めるように、プロのハンドドリップを再現した」(同氏)のがカプセル式の「DRIP POD(ドリップポッド)」だ。2度の改良を経て、2020年1月に現行モデルを投入した。
9月にカプセルの新商品を投入し、8種類でリニューアルする=Strainer
コーヒーの粉を密閉したカプセルをセットするだけで、60秒後に出来上がる。カプセル上部には蒸らすための空間を作り、適温のお湯が均等に抜けるように設計している。
なぜ今、UCCはカプセルコーヒーに力を入れるのか。