広がる「藻類」利用、CO2吸収し燃料や化粧品に 多業種から参入
水と日光があれば培養可能な「藻類」の利用が広がっている。パームや大豆などよりも効率よく油やタンパク質を生成できるため、食料品や燃料の代替品として活用されている。砂漠などの乾燥地域でも培養が可能で、CO2を吸収しながら増殖する性質から、脱炭素の観点でも注目を集める。
数十年前からクロレラやスピルリナなどが機能性食品や着色料として認知されており、現在では抽出したオイルなどが、化粧品などにも使用されている。藻類から作る化学品の研究も盛んだ。
藻類の応用性や環境負荷の少なさに商機を見出し、他業種からの新規参入も相次いでいる。今回の記事では国内の企業を中心に、最近の動向を紹介する。
自然界に存在する藻類は数十万種と多く、種類ごとに増殖のしやすさや含有する成分が異なる。燃料や化学品の生産に適した特徴を持つ様々な藻類の探索研究を進められている。
藻類はCO2を吸収し、光合成によりタンパク質や油、ビタミンやミネラルを生成する。光合成による物質の生産効率が高く、油ではパームオイルを作るアブラヤシの2倍以上、タンパク質では大豆の16倍以上にもなる。
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また、農業や畜産よりはるかに少ない水量で培養することができる。農業では畑へ散布された水のほとんどが地下へ浸透したり蒸発してしまうが、藻類培養では水面からの蒸発のみでロスが最小限となるためだ。
タンパク質1kgを作るのに必要な水の量は、牛肉で105ℓ、大豆で9ℓなのに対して、藻類は2ℓで済む。培養に必要な水の量が少ないことで砂漠地帯などでも生産が可能となる。