世界の証券取引所の規模を比較してみる

私見だが、人間の思考というものは「知っているもの同士の組み合わせを変える」ことで構成されていると思う。

脳みその神経細胞の数は決まっており、その電気信号のやり取りされる順番こそが思考回路である。


何が言いたいかというと、新しい何かを理解するときには、「すでに理解しているもの」と比較することが大事だということだ。

知らないものを見ただけではイカんともし難いし、知らないものと知らないものを比較しても何も生まれない。人間にとって、全ては相対的なものとして認識されるのだと思う。


さて、世界にはたくさんの証券取引所がある。なんとなく馴染みがあるのは東京証券取引所と、せいぜい米国の二つ(ニューヨーク証券取引所とナスダック)くらいなものだろう。

香港とか上海にもあるというのは知っていても、イメージが湧くかといえば全く湧かない。

ということでここら辺を比べてみることが大事であり、そのために良い資料がツイッターで流れてきた。

参考統計


まずは一ページ目に注目。


この図は、主要取引所の株式時価総額の合計を比較している。上半分がニューヨーク、ナスダック、ロンドン、ユーロネクスト、ドイツ、東京の6つの世界でも大きい部類に入る証券取引所。

下半分は上海、香港、インド、韓国、シンガポール、台湾である。

こうしてみると、東京が5兆ドルを超えているが上海は5兆ドルに達していない。つまり、東京証券取引所は時価総額としてはまだまだ上海、香港、インド、台湾などの取引所よりも大きいということだ。

その次のページ「売買代金の推移」をみると、すでに東京よりも上海の方が基本的には大きいようだ。


具体的な数字もあった。


この中から、特に今後、世界的に重要な位置を占めると思われる証券取引所を独断でセレクトしてみよう。

東京、ニューヨーク、ナスダック、上海、香港、インド、台湾あたりで行こう。

こうしてみると、現時点ではニューヨーク証券取引所が圧倒的に大きい。

ナスダックもそれに続いており、この二つを合計すると3232兆円にまで達する。

それに対し、日本は500兆円ちょっと、上海は500兆円弱。香港、インド、台湾はそれぞれ段々に下がっていく規模である。


これを各国の経済規模(GDP)と照らしあわせて考えるとどうであろうか。

データ出典

まあ常識ではあるが、アメリカが18兆ドル、中国が12兆ドル弱、日本が5兆ドルほどとなっている。

グラフにしてみるとわかるが、各国の経済規模と比べるとアメリカの証券取引所の時価総額がかなり大きいのと、上海の証券取引所の時価総額はGDPに比べると小さい。


この裏側にあるのは、次の2つだと思う。

1. 米国外の有力企業も米国の証券取引所に上場している。

2. 中国企業の株を買うことが難しく、海外資金があまり流れ込んでいない

一つ目は明らかだ。アリババも百度もインフォシスも、アメリカの証券取引所に上場しているが、アメリカの会社が米国外でわざわざ上場することはあまりない。

二つ目の理由は少し複雑で、2015年まで上海証券取引所に上場している株式のうち、「A株」として分類されたものを外国人が買うことはできなかった(参考)。まあでも今はできるっぽい。面倒なことに変わりはないが。

しかし、それ以上に中国圏という未知の市場に対して投資家が参入しにくい、というのはあるんじゃないかというのが自分の想像である。米国市場もまだまだ長く伸びるだろうが、中国市場との差は今よりも縮まるのではないかと思う。