意外と知らない「すしざんまい」の歴史とマグロ「初競り」が高騰する理由

意外と知らない「すしざんまい」の歴史とマグロ「初競り」が高騰する理由

新春恒例の「初競り」。2019年には築地から移転し、今年は豊洲で二回目の初競りとなりました。

そして、毎年恒例のようになっているのが「すしざんまい(喜代村)」による高額落札です。今年は一匹276キロのクロマグロに1億9,320万円もの価格がつきました。昨年の3億3,360万円につぐ金額です。

いまでは有名な「すしざんまい」ですが、一号店がオープンしたのは2001年。木村清社長が49歳になってからの創業です。

ユニークな人柄同様、木村社長の経歴もとてもユニーク。そこで今回は、木村清社長の半生と「すしざんまい」の歴史、それから「初競り」が高騰する理由について整理したいと思います。

パイロット→法律家→冷凍食品

木村清社長は千葉県出身、1952年生まれ。15歳(1968年)の時、戦闘機(F104)に乗りたくて航空自衛隊に入り、18歳で大検にも合格。

ところが事故で眼を負傷してしまい、パイロットへの道を閉ざされます。何かに打ち込みたいと思った木村氏は、司法試験を目指すことに。中央大法学部に入って2年で択一式試験に受かったものの、今度は学費が続かなくなってしまいます。

そこでアルバイトとして始めたものの一つが、百科事典の訪問販売です。最初の1ヶ月半は全く売れず、途方に暮れて公園で事典を一人で見ていました。すると遊んでいた子供たちが覗きに来て、話していると、今度はその母親もやってきて「面白くて為になるなら」と買ってくれるようになりました。これが口コミで広がり、今度は1ヶ月半で500巻以上売れる新記録を達成。

もう一つ、転機となったのが冷凍食品会社(現マルハの子会社)でのアルバイトです。配達兼営業で魚を売っていると、重宝がられて辞めるのが遅れ、司法試験をやめて入社することに。当時まだ一般的ではない冷凍食品は売れにくく、調理して直接消費者に売ろうと「弁当」を作って販売。こうしたアイデアをいくつも生み出し、モノが売れて喜ばれる楽しさを知ったと言います。

バブル崩壊で窮地に

結局、マルハの子会社には3年近く在籍。創意工夫する能力に自信をもった木村氏は1979年(27歳)、「木村商店」として独立することになります。

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