ソニーの業績を徹底的にまとめる

2017年5月23日に行われた、「Sony IR Day 2017」の資料2016年度の業績資料をもとに、ソニーの業績についてなるべく徹底的にまとめる。かなり長くなった。

まず、現在のソニーの全体像を軽く確認しておくと、ソニーの事業は「エンタテインメント」「金融」「エレクトロニクス」の3つの柱からなる。

そして、事業セグメントは以下の6つからなっている。

2016年度の連結業績(カッコ内は前年比)は、

売上高:7兆6033億円(-6.2%)

営業利益:2887億円(-1.9%)

純利益:733億円(-50.4%)

となっている。主な費用として、

構造改革費用:602億円(+57.4%)

固定資産の増価額:2722億円(-42.0%)

減価償却費:3270億円(-17.6%)

研究開発費:4475億円(-4.4%)

などを計上している。

各セグメントの業績は次の通り。

(億円) FY15 FY16 前年比
モバイル・コミュニケーション 売上高 11,275 7,591 △32.7%
営業利益 △614 102 +716億円
ゲーム&ネットワークサービス 売上高 15,519 16,498 +6.3%
営業利益 887 1,356 +469億円
イメージング・プロダクツ&ソリューション 売上高 6,840 5,796 △15.3%
営業利益 693 473 △221億円
ホームエンタテイメント&サウンド 売上高 11,590 10,390 △10.4%
営業利益 506 585 +79億円
半導体 売上高 7,391 7,731 +4.6%
営業利益 145 △78 △223億円
コンポーネント 売上高 2,246 1,954 △13.0%
営業利益 △429 △604 △175億円
映画 売上高 9,381 9,031 △3.7%
営業利益 385 △805 △1,190億円
音楽 売上高 6,192 6,477 +4.6%
営業利益 865 758 △107億円
金融 売上高 10,731 10,875 +1.3%
営業利益 1,565 1,664 +99億円

それでは事業を一つずつ見ていこう。

エンタテインメント事業

ソニーの音楽事業は、ソニーミュージックや「EMI」などの子会社からなり、収益の多くを音楽制作が占めている。音楽の制作はそのまま出版にもつながるケースが多いため、ミュージシャンをプロデュースし、音楽活動を行うことがソニー音楽分野の大きな部分だと言える。


映画事業などはソニー・ピクチャーズで展開しているが、ソニー・ピクチャーズが展開する三つの事業「映画制作」「テレビ番組制作」「メディアネットワーク」において、昨今の映画業界では次のようなトレンドがあるという。

その中で、ソニー・ピクチャーズとしては次の課題を抱えているという。

ソニー・ピクチャーズのCEOはアンソニー・ヴィンシクエラ氏という方になるらしい。

ゲーム&ネットワークサービス分野

続いてゲーム分野。

2016年度の総括として、プレステ4のエコシステムの成長、PS4プロによるユーザー体験の進化、プレステVRの導入成功の3つを挙げている。どれも記憶に新しい。

セグメント業績の変化。売上高は1.5兆円から1.6兆円を超えるまで増大。利益も887億円から1356億円へと大きく増やしている。その増加要因として、PS4プラットフォームの拡大、ネットワークビジネスの成長の2つを挙げている。

ゲーム分野における今後の戦略として、プレイステーションエコシステムを拡大する。プレイステーションのユーザーは月間7000万人がいるとのことだが、彼らに対して新しいデバイスやコンテンツ、サービスを次々に提供していく戦略のようだ。

2017年の戦略としては、「PS4エコシステムの収益最大化」「PSVRでの事業機会の追求」「プライステーションVueでの良質なコンテンツ提供」「モバイルコンテンツ事業の創造」などを挙げている。

中でも、PS4は2017年末累計販売台数7800万台を目指すとのこと。

モバイル・コミュニケーション分野

続いて、モバイル分野。主にスマホの製造販売などが含まれる。

2016年度の実績は、販売台数2000万台を予定していたのに対し、1460万台に終わ理、売上高は9400億円を見込んでいたが、7591億円に終わった。

利益に関しては為替影響による増益やオペレーションの改善などで、50億円を見込んでいたが102億円への利益となった。

構造改革として、人員・OPEX(営業費用)を削減したほか、組織やプロセスの整理により、オペレーションの質を改善したとのこと。製品保証費用を減らしてるのは若干きになるが。。

販売計画が未達に終わったことについて、エクスペリアのフラグシップモデルは国内で104%の達成率となったが、海外での達成率が60%に終わった。

プレミアム・スタンダードモデルは国内85%、海外は31%という結果。全体では目標から73%の達成率に終わっている。特に海外が全体で62%。

海外の月次販売数量について。旧モデル在庫が積み上がっていたために、スムーズに新モデルの販売に移行することができなかったのが原因としている。「セルイン」とは販売店までの販売で、「セルアウト」が販売店から消費者までの販売。実績のある旧モデルの方が売りやすかったということだろうか。。

2017年のスマートフォン市場の予測。世界全体で14億3900万台に達するという見込み。全体としては成長が原則し、成熟していくと予想されているようだ。

競合のフラグシップ製品は、高級化していく一方で似たり寄ったりになっている面もある、と指摘。

実際にこれだけ高価格化しているらしい。

今後の方針として、「ソニーらしい技術で商品を差異化」か。個人的には技術じゃない気がする、そこは。強みを持つ市場に集中するのは重要だと思うが。

商品ポートフォリオとして、真ん中の「プレミアム・スタンダード」を無くし、価格帯の高めである「フラグシップ」に注力するとのこと。高価格化の流れだな。

ガラケー時代から見てきたソニーの技術アピール。消費者はあんまり興味ないと思うけどなあ。

2018年以降、リカーリングビジネスへの拡大を目指すという。スマートホームなど、IoT分野での月額課金とかってことかな。

すでにあるSo-netなどの通信ビジネスにIoTを加え、ハードウェアとの営業利益の比率を半々に持っていきたいとのこと。

イメージング・プロダクツ&ソリューション分野

このセグメントでは、カメラやレンズなどのイメージング関連製品を扱う。

売上高は6840億円から5796億円、営業利益は693億円から473億円へと減少。

要因としては為替と数量減が大きく、数量減の要因では熊本地震による機会損失が大きいという。

売上高5800億円のうち、デジタルイメージングとプロフェッショナル向けがかなりの割合を占めている。しかもそのうち多くがカメラである。地域別の売上構成はかなりばらけている。

2016年度の静止画カメラ、動画カメラにおけるソニーのシェアはそれぞれ16%、29%とのこと。これはグローバルだろうか。。

2017年の重点施策として、「カメラブランドの強化」「既存領域の効率化」などを挙げている。

ホームエンタテインメント&サウンド分野

このセグメントでは、テレビやビデオなどの機器を扱っている。


売上高は1兆1590億円から1兆390億円へと減少。その要因の多くは、価格の下落によるものだという。

液晶テレビ市場は、4K対応を中心に回復する見込みとのこと。年間で2.3億台か。

中でも、「プレミアム4K」という分野の拡大を牽引するとのこと。4Kテレビ欲しい。

テレビ事業の液晶テレビのシェアは販売数量ベースで4位、金額ベースで3位。

ヘッドホンとワイヤレススピーカー、サウンドバー、ウォークマン(懐かしい)などは日本では一位のシェアとのこと。

半導体分野

半導体と言われると門外漢すぎてわからないが、まあ見てみよう。

SSS事業が全くわからないが、売上高は8800億円に成長する見込み。

営業利益は昨年の赤字を乗り越え、一気に1200億円の利益を実現するという。イメージセンサーというやつがポイントらしい。

要するに画像認識センサーか。モバイル領域がでかいな。


「Sony IR Day 2017」の資料はここまでであった。最後に、ソニーの決算書に目を通しておこう。

ソニーの財務諸表を読む

まずは連結損益計算書から。

全体の売上高は7.6兆円。そのうち、純売上高が6.4兆円、金融ビジネス収入が1兆円となっている。

売上原価は4.7兆円。販管費が1.5兆円で金融ビジネス費用は9101億円。

その結果、営業利益は2887億円となっている。法人税1240億円かー。

売上原価がかなり大きいことがわかる。

続いてバランスシート。まずは資産の部から。

資産は全部で17兆円あまり。流動資産が4.3兆円、投資及び貸付金が10兆円(!)、有形固定資産が7582億円となっている。その他の資産も2兆円か。現金同等物は9601億円。

固定資産の小ささと、投資及び貸付金の大きさが際立っている。

続いて負債と資本の部。

負債は全体で14兆円あまり。そのうち流動負債5.2兆円、保険契約債務その他が4.8兆円。生命保険ビジネスにおける契約者勘定2.6兆円。

資本の部をみると、資本剰余金が1.2兆円、利益剰余金が9843億円。利益剰余金が思ったより少ないような。。

最後に、キャッシュフロー計算書を見てみよう。

営業キャッシュフローは8092億円。

投資キャッシュフローはマイナス1.2兆円、財務キャッシュフローは4523億円となり、現預金などの残高は9601億円となっている。