DCF(割引キャッシュフロー)法による企業価値評価の方法を学びたいと思っていて、その中で「資本コスト」という概念がよくわからなかったのでまとめてみる。企業価値評価 第6版を元に進めてみるが、この箇所についてはクソわかりづらいので適宜推理というか憶測的理解を入れていく。
DCF法において企業価値を算出するにあたり、将来の事業からのキャッシュフローをWACC(Weighted Average Cost of Capital)で割り引く。WACCは、その企業に投資することによって投資家が期待するリターン、つまり機会費用を意味する。投資家はその企業が期待通りの収益をあげた際には資本コストをリターンとして得る。いまいちピンとこないが、資本コスト=投資家が期待するリターンと理解すれば良い。
そして、その資本コストを推定するために用いられる指標が「WACC」と呼ばれるもので、株主資本コスト、税引後有利子負債コスト、企業の目標とする資本構成という3つの要素から構成される。
WACCの計算方法
より具体的には、WACCは次のように計算する。
D = 有利子負債
E = 株主価値(=株主資本)
V = 目標とする時価ベースの企業価値
WACC = D / V x [有利子負債コスト] x (1 - [限界税率]) + E / V x 株主資本コスト
びっくりするほどわかりにくい式だ。式を組み替えるとこうなる。
WACC = (有利子負債 x 税引後有利子負債コスト + 株主資本 x 株主資本コスト)/ V
こっちの方が対照性が見えて理解しやすい。「税引後有利子負債コスト」と「株主資本コスト」にそれぞれの重みをかけた上で足してから目標とする時価で割る。
だから同著にある通り、WACCを簡単にいうと「税引後有利子負債コストと株主資本コストの加重平均」となる。
なぜこれが資本コスト(=投資家の1年あたりの期待リターン)を算出することになるのだろうか?
有利子負債の大きさは金利の分増加してゆく。 企業が成長する限り、株主資本の大きさも増大する。そのため、それぞれの増加率を「有利子負債コスト」「株主資本コスト」と呼んで、これらに重みを掛け合わせて足し、期待される1年後の時価総額で割ることで、その時価総額を達成するための「有利子負債コスト」「株主資本コスト」の平均的な大きさが算出できる、ということだと思う。
ここで思い出したいのは、WACCが小さいほどDCF法における割引率が小さくなり、企業の現在価値が大きくなるという点だ。
そして上の計算式によれば、有利子負債コストと株主資本コストが小さいほどWACCは小さくなるし、逆に大きくなればそれだけの大きなリターンが期待されるいうことになり、投資するための機会コストが大きい、ということになる。
これは一番むずかしいらしい。次の2つのステップを用いて推定する。
1. 株式市場全体の期待リターンを推定する
2. CAPMなどのモデルを用いて個別企業のリスクを計測
ステップ1からしてすでに無理ゲーな気がする。
株式市場全体のリターンの推定
以下の二つの方法のうちの1つを用いる。
1. 現時点の予想インフレ率を反映した現在の金利に過去のマーケット・リスクプレミアムを加える
2. 現在の株価とファンダメンタルな業績との関係から示唆される株主資本コストを計算
わけがわからん。そもそも市場全体のリターンとか言いだした時点で穿った目で見てしまう。
業界・企業リスクの調整
市場全体の株主資本コストの推定が終わると、それを企業ごとのリスクで調整するらしい。そのための一般的なモデルがCAPM(Capital Asset Pricing Model)とのこと。
CAPMでは次のように計算する。
[株式の期待リターン] = [リスクフリー・レート] + [市場と株式の連動性] x [マーケット・リスクプレミアム]
[マーケット・リスクプレミアム] = [市場全体の期待リターン] - [リスクフリー・レート]
ここで、「マーケット・リスクプレミアム」と「リスクフリー・レート」は市場全体で共通する指標であり、「市場と株式の連動性」がその企業に特有の値である。
あと、用語が変わってわかりにくいが「株式の期待リターン=株主資本コスト」。
投資適格の格付けをもつ企業については、有利子負債コストの推計値として、オプションがない長期債権の最終利回りを用いるらしい。わけがわからん。
最終利回りは、債権の約定金利ベースのキャッシュフローの現在価値と債券価格とが一致する割引率を逆算することで求められるらしい。ますますわからん。
そもそもお偉い機関が提供する格付けにどんな意味があるのかよくわかってない。そんなの参考にするんだな。
概要以外は全く理解できた気がしない。また次回再チャレンジしてみよう。他のソースもあたりつつ。
ただ、推測のための推測みたいなのが多く出てくる時点で、あまりこれに頼りすぎるのはどうなんだろうと正直思ってしまう。なのでWACCについてはむしろ「おおよそ間違いでない」値がどのくらいなのかを知ることが重要なように思う。
それよりも、その企業の事業の中身と収益性、成長ドライバーなどを理解することの方が重要なのではないか、と今のところは思う。