中国500.comの売上高が2年で98%減少した原因を探る

500.comは中国でオンラインスポーツくじを展開しているインターネット企業。こちらは同社の業績推移である。

2012年から2014年までは中国インターネット企業らしく(?)爆発的な成長を見せている。2014年の売上成長率は120%を超え、売上高5.8億元(約94億円)、営業利益1.5億元(約24億円)、営業利益率は25%に達していた。規模は小さいが、バリバリの優良インターネット企業である。

ところがどっこい、2015年には9955万元(16億円)、2016年には1092万元(1.7億円)にまで売上が急降下。一方で営業損失は3.6億元(58億円)にまで達している。

優良企業だと思ったら突然売上が消え、大きな赤字を垂れ流す企業になってしまったわけだ。収益性を評価し成長を期待して投資したのに、大損した投資家はかなりいたのではないか。

Google検索より)

投資を考える側としてはどうしてこんなことになったのかを知っておかなくてはなるまい。こんなことがあっては安心して中国企業の株を買うことができない

株価の推移をみると、2014年3月7日を高値に価格が下がり始めている。

2014年の業績自体は絶好調だったので、その頃から業績が悪化する前兆はあったのかもしれない。


ということで、急激な業績悪化の理由を知るために、昔の500.comのプレスリリースを見てみよう。

2014年5月8日 事業が認可されていることを主張

500.com Limited Reiterates that it Has Obtained Proper Approvals to Operate an Online Sports Lottery Service in China(500.comは中国でのオンラインスポーツくじサービスを営業する適切な承認を獲得していることを繰り返す)」

タイトルからして雲行きが怪しい。

中身を見ると、どうやら中国のとあるメディアで「500.comは法的に有効な認可を得ていない」という記事を書かれたらしい。それに対して、500.com側が「自分たちは政府から公正な認可を得ている」と正式に主張するプレスリリースであったわけだ。


このプレスリリースの後、8月8日までは株価は若干回復している。効果があったということだろう。

しかし、7月10日にはチーフ・リスク・オフィサーが辞任、8月20日には社長とCFOが交代している。

2014年9月10日:事業プロセスの公正さを主張

500.com Limited Reiterates that It Has Obtained Proper and Necessary Approvals to Legally Provide Online Sports Lottery Services in China and It Is Committed to Full and Accurate Disclosures of Its Business Operations(500.comは中国でオンラインスポーツくじを合法的に提供する適切で必要な承認を獲得していること、事業プロセスに関して全面的に正確な開示をするつもりであることを繰り返す)」

タイトルがさらに長くなったが、今度は500.comの事業プロセスに関していくつか疑わしい点がある、と指摘する記事がインターネット上に上がったようだ。それに対して「めっちゃ承認されてるし、疑わしい点があるなら開示するよ」と主張。


結局、2014年の間は論争がありつつも営業を続けていたようだ。その結果が120%を超える売上成長。

2015年2月25日:一時的にオンライン販売を停止

500.com Limited Announces Suspension of Sales by Certain Provincial Sports Lottery Administration Centers(500.comは州立スポーツくじ管理センターで販売を停止することを発表)」

これが正式な販売停止宣言っぽい。

中身を見ると、承認されていないオンラインくじの販売における自己監査と自己修正に関する掲示(金融庁などから交付された)への対応として、一時的にオンラインくじの販売を停止することを決めたようだ。

噂は本当だった、ってとこなのかな。

2015年5月2日:業績悪化の告知

500.com Limited Provides Additional Information on Temporary Suspension of Sales by Provincial Sports Lottery Administration Centers(州立スポーツくじ管理センターでの一時的な販売停止に関する追加情報)」

ローカルなくじ売り場の分は販売するが、オンラインがなくなるから業績がめっちゃ悪くなるよ、という告知。

2015年4月3日:政府の通達を受け、正式にオンライン販売停止

Public announcement regarding online lottery sales in China(中国でのオンラインくじ販売に関する公式発表)」

政府から承認されていないオンラインスポーツくじを販売する企業は直ちに販売を停止すること、という正式な通達があったとのこと。ここで決着がついた、という感じか。

2015年4月6日:売上なしでも10年は生きられると主張

Clarification on Announcement Regarding Online Lottery Sales in China(中国でのオンラインくじ販売に関する発表についての確認事項)」

500.comは国から認可されたオンラインくじ販売企業2つのうちの一つだったこと、今回の問題点が解決したら政府はまたすぐに認可を出すべきだ、みたいなことを主張しているっぽい。

この中で興味深いのは以下の点。

「The Company further notes that as of December 31, 2014, the Company had cash in the amount of RMB914.2 million, which the Company estimates would be sufficient to sustain the Company's operations for approximately 10 years without taking into account any revenue, and given the Company's estimated annual operational overhead of RMB80 million to RMB90 million.(さらに記しておくが、2014年12月31日時点で、当社は9億1420万元(150億円ほど)の現金を有し、年間営業コストが8000万-9000万元であることを考えれば、およそ10年間売上なしでも生きのびるのに十分である)」

潰れることはないから、投資家の人たち見捨てないでね、ってことかな。


見た感じ、まだオンラインスポーツくじ事業再開のめどは立っていないようだが、企業買収などを行ったりもしているみたい。