今回は、アメリカの大手小売チェーンの売上についてまとめてみたいと思います。
一口に小売と言っても、デパートやディスカウントストア、飲食チェーンなど幅広いジャンルがあります。
今回は、飲食チェーンは除き、生活品の小売チェーンについてまとめます。スーパーとかですね。
まずは早速、プレイヤーを整理しましょう。今回は、以下の17社を集めてみました。
① スーパーマーケット
ウォルマート、コストコ、クローガー、ターゲット、シアーズ、ホールフーズ・マーケット
② 薬局系小売チェーン
CVSヘルス、ウォルグリーンズ
③ ディスカウント店
TJXカンパニーズ、ダラージェネラル、ダラーツリー、ロスストアズ
④ 専門店(ホームセンター、家電量販店)
ホームデポ、ロウズ・カンパニーズ、ベストバイ、ベッドバス&ビヨンド
⑤ デパート・百貨店
メイシーズ
それでは、今までに集めた売上データを元に、それぞれのカテゴリーが拡大しているのか、それとも横ばいなのかをグラフで見ていきましょう。
まずは、アメリカの大手スーパーマーケットチェーンの売上高の推移です。
途中少しデータがない部分もありますが、基本的にはウォルマートが圧倒的に巨大であることがわかります。
コストコもクローガーも売上1000億ドル(10兆円)以上あるのですが、それすら小さく見えるほどのウォルマートのデカさ。
そして重要な点として、大手6社の合計は2007年から見ても拡大を続けています。
まあ、その中でも強いのはウォルマートだったりはしますが、2007年に合計で6000億ドル程度だったのと比べると、8000億ドルを超えるまで、33%以上も拡大しています。
続いて、CVSとウォルグリーンズというアメリカの薬局系小売チェーンの売上。
純粋な小売の売上だけではありませんが、とにかく比べてみます。
CVSヘルスの方が、ウォルグリーンズよりも600億ドルほど売上規模が大きいことがわかります。
先ほどチェックしたスーパー系小売チェーンと比べると、2社とも売上1000億ドル以上を突破しており、なおかつ着実に売上を伸ばしていることもわかります。
2社の合計値は、2007年の1300億ドルと比べると、3000億ドルを超えており、2倍以上に規模が大きくなっています。
ただ、重ねて言いますが、純粋な小売の売上はこれよりも小さな成長です。
次に、ディスカウント店4社の売上推移です。
これまでに挙げた二つの小売ジャンルとは異なり、4社合計しても売上1000億ドルには及びません。
しかし、その成長速度にはものすごいものがあります。
4社のデータが揃っている2004年と2017年を比べると、合計の売上規模は300億ドルから900億ドルへと、3倍に膨らんでいることがわかります。
2007年と比べるとやはり2倍以上であり、薬局系小売チェーンよりもディスカウント店の方が大きく成長しています。
次に、専門店4社です。
ホームセンターを展開するロウズカンパニーズとホームデポの2社は、比較的堅調に売上を伸ばしています。
一方で、家電量販店のベスト・バイは苦戦しているように見えます。この辺の事情は日本と共通していそうです。
最後に、百貨店です。
アメリカに代表的なデパートは他にもありますが、売上規模が数百億ドルに達するのはメイシーズだけです。
数多くの百貨店が上場する日本とは事情が異なりますね。
案の定、売上は伸び悩んでいます。
最後に、17社全体の表とグラフを置いておきます。
# | 会社名 | ジャンル | 売上高 |
1 | ウォルマート | スーパー | 485.9 billionドル |
2 | CVSヘルス | 薬局 | 184.8 billionドル |
3 | コストコ | スーパー | 129.0 billionドル |
4 | ウォルグリーンズ | 薬局 | 118.2 billionドル |
5 | クローガー | スーパー | 115.3 billionドル |
6 | ホームデポ | ホームセンター | 94.6 billionドル |
7 | ターゲット | スーパー | 69.5 billionドル |
8 | ロウズカンパニーズ | ホームセンター | 65.0 billionドル |
9 | ベストバイ | 家電量販店 | 39.4 billionドル |
10 | TJXカンパニーズ | ディスカウントストア | 33.2 billionドル |
11 | メイシーズ | 百貨店 | 25.8 billionドル |
12 | シアーズ | スーパー | 22.1 billionドル |
13 | ダラージェネラル | ディスカウント店 | 22.0 billionドル |
14 | ダラーツリー | ディスカウント店 | 20.7 billionドル |
15 | ホールフーズ・マーケット | 食品スーパー | 16.0 billionドル |
16 | ロス・ストアズ | ディスカウント店 | 12.9 billionドル |
17 | ベッドバス&ビヨンド | 家庭雑貨 | 12.2 billionドル |
今回わかったことは、以下の4つに集約されます。
・アメリカの大手小売チェーンは、今の所は売上を伸ばし続けている
・ウォルマートは、2位から5位まで(CVS、コストコ、ウォルグリーンズ、クローガー)の売上を合計してやっと超えるという圧倒的デカさ
・規模は小さいものの、TJXやロスストアズなどディスカウント系の小売チェーンはかなり勢いがある
・CVSやウォルグリーンズなどの薬局系小売チェーンが伸びている(日本と共通した傾向)
今回、17社の規模感をなんとなく掴むことができました。
これをとっかかりに今後もさらに深い分析ができるよう、チェックしていきたいと思います。
平日、毎朝届く無料のビジネスニュース。
Strainerのニュースレターで、ライバルに差をつけよう。