ヤフー2018Q2決算 売上は微増も営業利益は微減、その中身は?

LINEヤフー

昨日、ヤフーの第2四半期決算が出ていたのでまとめます。

ヤフーのIRページより)

このエントリの内容は、まず初めに業績や財務状況をみて、セグメント業績をみて、それから各セグメントの詳細をチェックしていき、最後にポイントを復習する、という流れになっています。



全体業績

まずは全体の業績です。

売上高は4280億円で、前年同期(4095億円)プラス4.5%の成長。前年の売上成長率が65%だったことを考えると、明確に成長は鈍化しています。

また、営業利益は950億円で、前年の1004億円と比べて-5.4%の減少。ここ数年、利益率は下がり気味でしたが、この第2四半期時点でも営業利益率22.1%と、ヤフーにしては低い利益率になっています。


売上増加の要因は、検索連動型広告やプレミアム広告などの広告売上が増加したこと、イーブックイニシアティブジャパンを連結子会社化したことなどが寄与したとのことです。

営業利益の減少要因は、販売促進活動やデータ設備等への投資を強化したことと説明されています。

業績ハイライトのスライドです。


ヤフーの事業セグメント

ヤフーの報告セグメントは「メディア」「コマース」の2つがメインで、それぞれ次のような内容です。

ヤフーの広告商品についても詳細な表がありました。


セグメント売上高の変化

セグメント売上の変化を見てみます。

メディア事業は1350億円から1386億円、コマース事業は2690億円から2837億円へと成長しています。

メディア事業の主な成長要因は検索連動型広告の売上増加で、中でもスマートフォン広告の比率は55.2%にまで増大。

コマース事業では「Yahoo!ショッピング」での広告売上が増加したほか、イーブックイニシアティブジャパンの連結子会社化により売上増加。

eコマース国内流通総額は9944億円(前年同期比+15.3%)となり、そのうちアスクル単体でのBtoB事業インターネット経由売上高は1130億円。


売上比率では、メディア事業が32.4%、コマース事業が66.3%を占めています。

セグメント利益の変化

同じく、セグメント利益もみてみます。

メディア事業の利益は784億円から794億円に増加していますが、コマース事業の売上が429億円から393億円に減少しています。

メディア事業の利益率は58%から57.2%、コマース事業は15.9%から13.8%に減少しています。

資産の状況

資産の状況をみてみます。

前年とほとんど変わっているように見えません。

総資産1.56兆円のうち、現金同等物が5121億円と3分の1ほどを占めています。ただ、前年の5430億円よりは300億円強減少しており、代わりに増えたのが営業債権です。

営業債権は3808億円から4096億円に増加していますが、この要因はクレジットカード取扱高の増加とのこと。

のれんが1610億円、無形資産が1491億年とかなり大きくなっています。

負債・自己資本の状況

続いて、バランスシートの右側(負債・自己資本)についてもみます。

利益剰余金が9303億円と、かなりの部分を占めています。流動負債も4292億円と大きく、この2つで総資産に対してほとんどの比率を占めています。

資本剰余金がマイナス44億円になっていますが、こういうケースもあるんですね。


メディア事業の状況

ここからは各セグメントの詳細を決算説明資料から追っていきます。


ヤフーのメディア事業は、広告・メディアというさらに二つに分けられています。

まずは広告関連の売上高です。

広告関連売上高は前年同四半期から7%成長し、743億円となっています。ディスプレイ広告と検索連動広告の比率はほとんど半々です。

広告売上の中でも、スマートフォン広告は大きく伸びています。


スマートフォン広告だけで412億円と、広告売上の55%を占めています。

サイバーエージェントはすでに広告売上の80%がスマートフォン広告なので、ヤフーの方が変化が遅いと言うこともできるかもしれません。


また、ヤフーはメディア事業において「Yahoo!ニュース動画」に注力しており、9月にはAndroid向けにタイムライン上での自動再生を開始しています。

それにより、動画視聴時間は前年の3.3倍に増加。


コマース事業

続いて、収益の66.3%を占めるコマース事業です。

コマース事業は「会員」「ショッピング」「オークション」「決済金融」の4つに分けられています。

①会員

まずは会員事業です。月間有料ID数の変化です。

2017年9月末時点での月額有料会員ID数は2,470万IDと、前年から42.1%と大きく増加しています。

そのうちYahoo!プレミアム会員数は1,793万IDで、ソフトバンクとの連携施策により大きく増加したとのことです。

②ショッピング

続いてショッピングです。


ショッピング事業の取扱高は39.1%と大きく増加し、1407億円に達しました。

ショッピング広告に注力しており、前年同期から1.8倍に増加しています。これはアリババの真似でしょうか。


「Yahoo!ショッピング」では、プレミアム会員による取扱高比率が72%と増加しています。

③オークション事業

続いて、ヤフオク事業です。

取扱高は2212億円と、着実に増えてきています。

今年の2月からはヤフオクと「Yahoo!マネー」を連動させる施策を開始しています。

それにより、「Yahoo!マネー」残高は急拡大しているとのこと。

「Yahoo!マネー」で受け取り、支払うことで最大14%のポイント還元するという施策も売っています。

ヤフオクはメルカリによって今まさにシェアを食われつつあると思うので、かなり積極的な施策を打っていますね。

④ 決済金融

最後に、ペイメントです。

Yahoo!ウォレットの口座数は3814万口座に達しています。

過去最高って、そりゃそうだろうよって感じがしますが。消す人とかいないだろ。

しかし、取扱高も前年から13.2%増加し、3159億円に達しています。


また、クレジットカードの有効会員数も412万人と、前年同月末から1.5倍に増加。

これはすごい成長です。

クレジットカード取扱高も1.9倍に増加し、2213億円に達しています。


まとめ

以上、ザーッと見てきましたが、まとめると次の通りになると思います。

【全体】

・売上高は4280億円(YoY+4.5%)、営業利益950億円(YoY-5.4%)

・売上比率はメディア事業が32.4%、コマース事業が66.3%

・メディア事業の利益は794億円(YoY+1.2%)、コマース事業は393億円(YoY-8.4%)

【メディア事業】

・広告売上は743億円(YoY+7%)、うち412億円(55%)がスマートフォン広告。

・「Yahoo!ニュース動画」に注力し、動画視聴時間は前年の3.3倍に。

【コマース事業】

・有料会員ID数は2470万、うちYahoo!プレミアムが1793万。

・ショッピング取扱高は1407億円(YoY+39.1%)

・ショッピング広告売上は55億円(YoY+80%)

・「Yahoo!ショッピング」取扱高のうち、72%がYahoo!プレミアム会員に

・オークション関連取扱高は2212億円に(Yahoo!マネーとの連携施策)

・Yahoo!ウォレット口座数は3814万、取扱高は3159億円(YoY+13.2%)に

・クレジットカード取扱高は2213億円に(YoY+90%)