ここ3ヶ月で株価が2倍以上に上昇した串カツ田中の収益やコスト構造を図解!

今回は串カツ田中について調べます。

社長の貫啓二氏は1998年より個人店「KGバー」を経営していました。

また、現在副社長を務める田中洋江氏は大阪の西成育ちで、幼い頃から父親とよく串カツ屋に連れて行ってもらっていました。田中氏の父が独自で作っていた串カツもかなり美味しかったそうです。

そんな中、2008年12月に世田谷で開始したのが、田中洋江氏の父のレシピを使った串カツ屋「串カツ田中 世田谷店」でした。

参考:「串カツ田中」に宿る父の味

2011年からの店舗数推移です。

5年間でわずか6店舗から131店舗へと、ものすごい勢いで店舗数を拡大させてきたことがわかります。

事業規模も大きく成長しています。


2011年からの5年で、売上高は3.5億円から39.7億円、経常利益は1396万円から4億円に増大しています。飲食店として、5年で売上10倍というのはかなりの成長速度です。

さらに、今期も順調に成長しています。

3Q時点で売上高は39.7億円と、すでに昨年の通期売上高に並んでいます。

マーケットでの注目度も高く、株価はこの3ヶ月で2倍以上に上昇しています。

ちょっと上がりすぎという感じがしなくもありませんが、串カツ田中が大きな成長可能性を持った飲食企業であるということは間違いないと思います。


串カツ田中のコスト構造

串カツ田中は飲食チェーンとして前年比30%を超える高い売上成長率を続けながら、同時に黒字をキープしています。同社のコスト構造はどうなっているのでしょうか?


売上原価と販管費の合計が売上に対してそれぞれ39%、53%ほどとなっています。

販管費率の内訳は、給料及び手当が売上に対して10%、雑給が11%、地代家賃が7%、減価償却費が3%程度です。

売上原価と人件費、家賃がコストのほとんどを占めており、極めてシンプルなコスト構造と言えます。


収益の分析

ここからは収益の分析を行なっていきます。まずはシンプルに内訳をみてみましょう。

売上のかなりの部分が直営店での売上となっています。

比率でもみてみましょう。

2015年から2016年までの間に、フランチャイズ店に対する商品売上の比率が14.5%から20.6%にまで増大しています。

この間にフランチャイズ店舗数は58店舗から74店舗と、16店舗増加し、FC商品売上は4.5億円増加しました。


こうなってくると、1店舗あたりの売上数値を出してみたくなりますね。直営店の1店舗あたりの売上、FC1店舗あたりの商品売上やロイヤリティ収入はどのようになっているでしょうか?



直営店1店舗あたりの売上平均は5100万円から6000万円へと、1年でかなり増加しています。

FC1店舗あたりの商品売上も627万円から1103万円と増大。FC1店舗あたりのロイヤリティ収入は320万円あたりでほとんど変わっていません。

1店舗あたりの売上が増加している、ということは「串カツ田中」というチェーン自体の人気が上がってきているということでしょうか。


今後の串カツ田中の成長ドライバーとして、店舗数はもちろんですが、「1店舗あたりの収益がどこまで伸びるのか」というのも同じくらい重要な視点と言えそうです。


急拡大したけど財政状態は大丈夫なのか

2011年からの5年間で店舗数を20倍に拡大した串カツ田中ですが、財政状態は大丈夫なのでしょうか?

まずは自己資本比率の推移をみてみます。

上場前までの自己資本比率は概ね20%台で推移しており、飲食店らしく(?)借入金に頼る割合が高かったのではないかと思われます。

2016年に自己資本比率が改善しているのは、上場によって多くの現金を調達できたからでしょう。

詳細を知るために資産の内訳をみてみます。

2016年には総資産34.7億円のうち、現預金が18.9億円と、前年から10億円ほど増加しています。

投資その他の資産が6億円もあるのは少し意外ですね。


飲食店は原則としてその場で決済するため売掛金は1億円と、割合としてはかなり小さくなっているのが興味深いなと思いました。

その他、土地は資産として持っていないものの建物(純額)は5.3億円の資産を計上しています。


続いて、資産の源泉を表す、バランスシートの右側(負債と純資産)を一緒にみてみましょう。

負債の合計は16億円ほどで、そのうち6.3億円が長期借入金となっています。

一方、純資産は18億円あり、そのうち資本金と資本剰余金がそれぞれ5.6億円ずつ、そして利益剰余金が7.3億円となっています。

自社事業からの利益剰余金と株式発行による資金、借入金をかなりバランスよく組み合わせて経営していることがわかります。


フリー・キャッシュフロー倍率

串カツ田中のFCF(フリー・キャッシュフロー)の状況をチェックしてみます。

フリー・キャッシュフローは年間1.68億円ほどとなっています。串カツ田中の現在の時価総額は248億円なので、FCF倍率は147.6倍となります。

もし串カツ田中を今の時価総額で丸ごと買収した場合、今の規模だとFCFベースで元を取るまでに148年かかるということになります。

さすがに、ちょっと加熱し過ぎかもしれませんね。


串カツ田中が長期目標を達成したとき、どのくらいの企業価値になるか?

最後に、「串カツ田中」が何を目指しているのかを知りたいので、2017年11月期2Qの決算説明会資料をチェックしてみます。

長期目標は、全国1000店舗体制を構築すること。明確ですね。

2Q時点での店舗数は150店舗とのことなので、まだまだこれからです。


2016年11月末時点での店舗数は131店舗で、売上40億円、営業利益3億円なので、単純に計算すると売上は305億円、営業利益は22.9億円にまで成長することになります。

そこまで行けば時価総額250億円は十分に正当化されますが、それがマックスになってしまうときついですね。

ホームページの社長メッセージには、「大阪の串カツを世界のKUSHIKATSUへ」という項目がありました。

これが本気であるならば、串カツを日本中に広げた後、海外展開も考慮に入れているということでしょうか?

もし海外展開がうまくいくならばかなりのポテンシャルがありそうです。というか、こんなメッセージを書くくらいなら会社の目標として、海外展開も早めに言及して欲しいところではあります。

まずは国内ということでしょうが、1000店舗までに少なくとも5年はかかりそうですね。

「串カツ田中」は大好きなので、今後も引き続きチェックしていきたいと思います。