大晦日の晩といえば紅白歌合戦を見ている人も多いのではないのでしょうか。
そこで、今回は紅白歌合戦でおなじみの「NHK(日本放送協会)」の業績と財政状態についてまとめてみたいと思います。
前身となる1926年に設立された社団法人日本放送協会の事業と資産を受け継いで、NHKは1950年に放送法に基づく特殊法人として設立されました。
1951年には第1回目となるNHK紅白歌合戦の放送を開始、第3回目までは年末ではなく正月に放送されていました。
NHKの予算承認は国民の代表として国会が行いますが、中立で公正な放送を行うため政府から干渉を受けない独立公共放送事業となっています。
売上(経常事業収入)は2018/3期で7,852億円と増加傾向にあります。
また、営業利益(経常事業収支差金)は175億円で、純利益は230億円です。
放送事業の売上をキー局とNHKで比較してみると、NHKは日本テレビの倍近くと一社だけ圧倒的に大きいことがわかります。
放送法第64条でNHKが受信できる設備がある場合には視聴の有無に関わらず、NHKと契約しなければなりません。
また、放送法第83条によりNHKは広告放送をすることが禁止されています。
そのため、NHK本体の収入は98%が受信料です。
外国では混合財源を取っている国が多く、例えばフランスでは収入の30%が広告となっています。
契約は大きく2種類あり、衛星放送(BS)が受信できる場合は月額2,230円の衛星契約が必要になります。
地上か衛星のどちらの契約になるかは、見る見ないではなく受信できるかどうかで決まります。
年払いの方が2,000円ほど安くなっており、衛星契約の割合は51%です。
売上の内訳は7,034億円が受信料で、連結子会社のイベント収入などその他の売上が818億円です。
内閣府の調査によると日本のテレビ普及率は95.1%で、世帯数は5,800万なのでテレビを保有しているのは5,516万世帯ということになります。
NHKの契約件数は4,106万件なので、契約率は74.4%と本来集められる受信料は1兆円近くであることがわかります。
衛星契約と地上契約の差額による収入の割合は少しずつ増加しており、2018/3期では27.3%です。
最近のテレビでは衛星放送に対応していないテレビを買う方が難しいので、今後もこの比率は上がっていく予定です。
費用の内訳を見てみると、国内放送費率が41.8%、給与は売上の14.1%です。
また、NHKは契約と受信料の徴収を業務委託しているのでその費用が売上の7.9%を占めています。
2018年9月末時点で総資産1兆2,587億円のうち、現預金や有価証券などの金融資産が4,259億円、有形固定資産が4,400億円です。
また、渋谷の放送センターなどの建て替えに備えた建設積立金は1,708億円ほどあります。
資産の源泉となっている負債・純資産を見てみると、利益剰余金を含む純資産が8,634億円、前受金が1,536億円です。
2018/3期の営業キャッシュフローは1,148億円で、フリーキャッシュフローは301億円です。
もしこれが一般的な企業であれば優良企業のお手本のような財務状態となっています。
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