株価急上昇のRIZAPグループ、その評価は適正か?事業数値を整理することで導かれる事実

今回はRIZAPグループについて改めて調べてみたいと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、RIZAPグループの株価は近ごろ爆上がりしています。


時価総額はなんと6647億円に達しています。

例えばサイバーエージェント(5164億円)やマツモトキヨシHD(4988億円)、ミクシィ(4357億円)などよりも市場からの評価が高い、ということになります。


一体何があったのでしょうか。そして、その評価は適正なのでしょうか。

本エントリでは、RIZAPグループの事業数値を整理することで、その謎に迫りたいと思います。


RIZAPグループ略史

まずは背景を理解するために、会社としての歴史をザクッと把握します。

設立からアンビシャス上場まで

2003年に「健康コーポレーション」として東京都中野区に設立。健康食品のインターネット通販を開始。

2004年より楽天市場、2005年よりYahoo!ショッピングに出店。

2006年には早くも札幌証券取引所アンビシャスに株式を上場(本社は東京)。

上場後はM&Aにより事業を多角化

上場すると、グループとしての多角化が始まります。

2006年には健康アド(2008年清算)、健康パートナーズ(2007年吸収消滅)、健康アグリマリーンゲート(同)、ピーズ(2010年吸収消滅)、米国現地法人 Kenkou USA,Inc.(2008年譲渡)などを設立。

この頃から、M&Aによる企業買収を多く手がけるようになります。


その結果、全体業績としては次のように上がっています。

売上高は953億円、営業利益は102億円、純利益も78億円と、急激な成長を遂げているように見えます。

しかし、パーソナルトレーニングだけでこれだけの収益が作れるとは正直思えません。実際にその中身がどうなっているのかをみていきます。


RIZAPグループの事業内容

まずは、RIZAPグループのグループとしての構造を知っておきましょう。

グループ全体の事業は次の4つに分類されています。

1. 美容・健康関連事業

ボディメイク事業として「RIZAP」を展開するほか、健康コーポレーションやジャパンギャルズなどの子会社にて健康食品や美容グッズの通販を行っています。

2. アパレル関連事業

マタニティウェアや出産内祝いギフトを販売するほか、カジュアルウェアを販売するジーンズメイト、レディースファッション通販サイトを展開する夢展望などが含まれています。

3. 住関連ライフスタイル事業

インテリア、トラベル雑貨などの企画・製造・販売を行うイデアインターナショナルが含まれるほか、住宅新築やリフォーム、メガソーラーなどの事業も展開。

4. エンターテイメント事業

ゲームやフィットネス、ボウリング、カフェ、シネマ・テナント、出版など幅広い事業を展開しています。


2017年3月期時点で、RIZAPグループは子会社51社を有する企業集団となっており、CMで見る「結果にコミット」する事業はごく一部分に過ぎないことがわかります。

各事業の収益は次のようになっています。

2011年度までは売上のほとんどが美容健康に関する事業でしたが、その後、急速に事業の多角化を進めてきたことがわかります。

創業事業を含む美容・健康関連の比率は40%にまで下がり、代わりにアパレルが13.6%、住関連ライフスタイルが34%を占めるまで拡大しています。


財政状態とキャッシュフロー

ここまで短期間にグループを拡大するには、健康食品などの既存事業を原資とするだけでは足りないはずです。財政状態はどうなっているのでしょうか?

まずは資産内訳の変化を見てみます。

2013年度あたりから爆発的に資産が増え、総資産は5年で10倍ほどに膨らんています。

2017年3月期の総資産956億円のうち、現金同等物は246億円、有形固定資産は176億円、買収などによるのれんは63億円となっています。


これだけ資産を増やす原資はどこから獲得したのでしょうか。負債と純資産を見てみます。

有利子負債が合計で412億円に増大しています。利益剰余金は137億円、資本金と資本剰余金の合計は31億円ほどです。

ここ5年間を見ると、有利子負債は50億円から412億円に増加しており、積極的な借入を行ってきたことがわかります。


キャッシュフローの変化についてもみておきましょう。

事業が生み出すキャッシュフロー(営業キャッシュフロー)は最大でも20億円程度となっており、売上規模(1000億円弱)と比較すると事業によるキャッシュフローはあまり生み出せていないと言えます。

一方、財務キャッシュフローがここ2年は52億円、110億円と大きなプラスになっています。財務キャッシュフローがプラスになるということは、借入や株式発行による資金調達を行ったということを意味します。

2016年3月期(左側)については、短期借入金12億円、長期借入金63億円、社債28億円、株式発行25億円の資金調達。

2017年3月期(右側)には、長期借入金194億円、社債で30億円もの資金調達を行っています。


ちなみに、RIZAPグループのフリーキャッシュフローを計算すると、基本的には多くの年でマイナスです。


M&Aによる買収がフリーキャッシュフローの拡大につながっていれば理想的ですが、現時点ではそうはなっていないようです。


本エントリでRIZAPグループの市場価値について断定的に評価することは避けますが、フリーキャッシュフローが増加していない中で市場からの評価が上がっている、というのが決算書を読み解く中で見えてきた事実です。

その背景には昨今の好景気や市場全体の楽観的な雰囲気などもある気がします。どちらにせよ、この評価が今後どのように変わっていくのか、引き続きチェックしていきたいと思います。