D2Cへの移行で売上47.5%増!防寒用高級アパレルを製造・販売する「Canada Goose」

D2Cへの移行で売上47.5%増!防寒用高級アパレルを製造・販売する「Canada Goose」

今回は防寒用高級アパレルを製造する「Canada Goose」(ティッカーシンボル:GOOS)についてまとめていきます。

カナダグースは移民であるサムティック氏によって、1957年にトロントで設立されます。

創業者であるサムティック氏はカナダの厳しい寒さを凌げる服を作る必要性に強く駆られていました。

しかし、当時の技術では、ダウンジャケットを大量生産することは不可能でした。

そのため、設立からしばらくはウールのベストやレインコート、スノーモービルスーツに特化して、製造していました。

(Canada Goose 沿革)

1972年、Canada Gooseはダウンジャケットを大量生産するための機械の開発に成功します。

これにより、カナダ国内で防寒具メーカーとしての地位を確立。

1980年代には、南極の観測地点で働く研究者のための防寒具としてCanada Gooseの製品が採用されるなど世界的にその技術力の高さは認められていきます。

2000年代には、防寒性の高さから極寒のシーンが多い映画の撮影でもCanada Gooseの製品が用いられました。

2017年にはトロント株式市場とニューヨーク株式市場に上場。

現在は世界38カ国に2,200以上の拠点を有する世界的な防寒具製造メーカーとなっています。


それでは売上と営業利益の推移を見ていきます。

売上高は年々増加し、2018年3月期の売上は5.9億カナダドル(499億円)まで増加しています。

営業利益は前年から3倍以上の1.4億カナダドル(118億円)となりました。

1,000ドル前後の高級防寒具を製造。小柄なアジア人向けにはFusionFitというモデルを製造。

Canada Gooseはダウンジャケットなどの防寒具の企画・製造から卸売・小売まで行っています。

(Canada Goose 公式HP)

ほとんどの製品が500ドル以上で、主力製品であるパルカス(フード付きの毛皮製のジャケット)は1,000ドル前後のものが主流となっています。 

Canada Gooseは全てのジャケットの製造過程において、13の生産段階を踏み、人の手によって、何度も製品の品質を確認します。

こうして作られるCanada Gooseのジャケットはマイナス70度の寒さもしのぐことができます。

欧米人に比べて、体の小さい日本人や中国人といったアジアの人々向けにFusionFitというモデルの製造も行っています。

フードを小さくしたり、袖や裾を短くすることでアジアの体型にあった製品を製造しています。


Canada Gooseは卸売とD2C(小売)の2つの販売チャンネルで製品を販売しています。

D2C(小売)には、ECサイトでの販売と直営店での販売が含まれています。


販売チャンネルごとの売上を確認してみましょう。

2018年3月期の卸売の売上は3.4億カナダドル(288億円)で一番の収益源となっています。

加えてD2Cの売上が2.6億カナダドル(220億円)と前年から倍以上の増収を遂げており、Canada Gooseの成長ドライバーとなっていることがわかります。

D2C比率の上昇により売上原価が18.2ポイント減少

ここでCanada Gooseのコスト構造を確認してみます。

2015年3月期には59.4%だった売上原価率は、2018年3月期には41.2%にまで減少。

これは彼らが成長戦略として、D2Cの売上比率を上げることに力を入れているためです。

D2Cの売上に対する比率は、2015年3月期の3.7%から2018年3月期には43.1%まで上昇しています。

それまで卸売を専門に行ってきたCanada Gooseは2015年、販売チャンネルを多角化するため、自社での小売を開始。

ECサイトを開設し、自社製品の販売を始めました。

現在、12カ国でECサイトを展開し、直営点も運営しています。

2016年にはトロントとニューヨークに初となる直営店をオープン。

2018年3月期にさらに5店舗増え、現在は7店舗を構えています。

一般的に卸売価格よりも小売価格のほうが高いため、粗利益が多くなり、売上原価率は減少します。

D2Cの方が卸売よりも売上原価率が低く、D2Cの比率が上昇したことで全体の売上原価率の減少につながったということになります。

日本のアパレルメーカー「ゴールドウイン」も自社の小売販売を増加させたことで売上原価率を下げることに成功しています。


売上原価率が減少する一方、販管費率は上昇傾向にあります。

2015年3月期の販管費率は27%でしたが、2018年3月期には34%にまで上昇。

これは直営店の運営費用や従業員数が増加しているためです。

2017年の販管費率は40%を超えていますが、これはIPOによる一時費用増加が主な要因となっています。

営業CFは1.3億カナダドル。現在の時価総額は85.3億カナダドル。

バランスシートについて確認します。

総資産6.9億カナダドル(584億円)に対して棚卸資産が2.3億カナダドル(195億円)あります。

無形固定資産は1.4億カナダドル(118億円)、有形固定資産は0.7億カナダドル(59億円)となっています。

資産の源泉である負債・純資産の部について確認すると、株主資本が2.8億カナダドル(237億円)となっています。

借入金の合計は2.7億カナダドル(228億円)です。

2018年3月期の営業キャッシュフローは前年の3倍以上となる1.3億カナダドル(110億円)のプラスとなっています。

2017年3月の上場から株価は3倍以上に上昇し、現在の時価総額は85.3億カナダドル(7,216億円)です。

現金2.3億カナダドルと有利子負債2.7億カナダドルを考慮した企業価値(EV)は85.7億カナダドル。

18/3期の営業キャッシュフロー1.3億ドルに対して65.9年分という評価を受けている計算となります。

シーズンを迎える3Q(10月から12月)の売上が高くなる傾向。北米以外への地域にも進出するため8カ国でECサイトを開設

Canada Gooseは2019年3月期の2Qの決算資料で、2019年3月期において、最低30%の売上増加を予想しています。

この予想に基づき、年間売上が30%増加すると仮定すると、2019年3月期の売上予想は7.7億カナダドル(651億円)になります。

一方、2019年3月期上半期の累積売上は2.8億カナダドル(237億円)。

進捗率は36.4%程度ですが、この背景には業績の季節性があります。

Canada Gooseの主力製品は防寒用アパレルですから、ちょうどシーズンを迎える3Q(10月〜12月)の売上が大きくなる傾向があります。

2018年3月期と2019年3月期の1Q、2Qの売上を比較するといずれも30%を超える増収を達成しており、現在までの進捗は順調だといえます。


Canada Goose成長戦略の中核に据えているのはグローバル展開です。

Canada Gooseの売上はカナダ・アメリカの2ヶ国で全体売上の70%近くを占めています。

Canada Gooseは創業の地であるカナダのジャケット市場においては、52.2%と高いシェアを獲得。

アメリカはCanada Gooseの全体売上の31.1%を占めるものの、ジャケットの市場そのものが大きいため、市場シェア率は6.0%とそれほど高くありません。

また、ヨーロッパの市場シェア率は5.0%となっています。

日本・韓国の市場シェア率は10.2%、中国での市場シェア率は1.4%とアジアでの市場シェア率もまだまだと言えます。


北米以外での地域での市場シェアを高めていくため、2018年には6つのヨーロッパの国々に加え、中国、オーストラリアでECサイトを開設。

中国には特に力を入れており、2019年3月期において、上海に中国オフィスを開設するとともに、北京や香港に直営店を出店する予定です。