日本でも「スタートアップ」という言葉が聞かれるようになって久しいですが、当然ながら「新しい中小企業」という存在自体は昔からありました。(どんな企業も最初はそうです)
それではなぜ近年「スタートアップ」という名前が定着したのか。
この背景を考えると、資金提供者である「ベンチャー・キャピタル」の存在が大きいと言えます。
日本の大企業の多くは、小さな個人商店から始まったものや、財閥の元で大きくなったものがほとんどです。
銀行からの借入で商売を始めるか、巨大資本の傘下で始まるケースが多く、現在も割合的にはその方が多いはずです。
ところがこの20年、ベンチャー企業に「投資」して株式の一部を保有し、会社が成長したら売却してリターンを稼ぐ、というケースが増えてきたのではないでしょうか。
もちろん、このモデル自体は日本でも古くからありました。(そもそも株式会社がそういうもの)
1972年に日本初のVCと言われる「京都エンタープライズデベロップメント」が設立され、翌年に日本合同ファイナンス(現・ジャフコ)が設立。
ところが、ジャフコ以前に設立されたVC(3社)はどれも姿を消しており、日本のベンチャー・キャピタルの発展はスムーズには行かなかった現実があります。
直近の状況では、日本のベンチャー投資額が数千億円規模にとどまっているのに対し、アメリカは7.5兆円、中国は2.1兆円にまで達しています。
GDPでは日本が4.9兆ドルなのに対してアメリカは19兆ドル(3.9倍)、中国は12兆ドル(2.4倍)ですから、ここまで大きな差はありません。
ここまで差が開いてしまった要因は色々考えられますが、今回はその点には触れません。
それよりむしろ、アメリカのベンチャー・キャピタルの歴史から学べることがあるのではないでしょうか。
AppleやGoogleをはじめ超ビッグな企業がいくつも誕生していることはもちろん、発祥のストーリーが非常に面白いのです。
そして、その背景を考えると、当初からテクノロジー志向だった「シリコンバレー」の歴史を抜きにしては語れません。
今回のエントリでは、現代の情報社会の源流がどこにあるのかを理解するため、アメリカ「シリコンバレー」の発祥について整理してみたいと思います。
シリコンバレーの歴史は、アメリカの物理学者であり発明家のウィリアム・ショックレーという人物にまでさかのぼります。