今回は、オンラインでのブランド品の買い取りと販売を手がけるデファクトスタンダードについて取り上げます。
2004年に設立され、2007年より個人買取事業(リユース事業)を開始。
同年にはメディア事業として展開していた「オークファン」を分社化。その後はリユース事業に特化し、2016年に東証マザーズに上場。
現在は、ブランド買取サービス「ブランディア」やブランド専門オークション「ブランディアオークション」などを展開しています。
業績推移を見ると、利益率は高くないものの、着実に売上を積み上げています。
2017年9月期の売上は100億円を突破し、経常利益は4億円に。6年前の売上(29億円)からの年平均成長率は24%となります。
リユース領域は「メルカリ」「フリル」などのフリマアプリも含まれる分野であり、急速な市場拡大と、それに伴う競争激化が起こっています。その中で、デファクトスタンダードはどう戦っていくのでしょうか。
本エントリでは、ビジネスモデルと戦略、そして過去の事業数値をまとめてみたいと思います。
まずはビジネスモデルを整理します。
デファクトスタンダードの中核事業であるリユース事業は、ブランド買取サービスを提供する「ブランディア」と、そこで買い取ったブランド品を販売する事業、の大きく2つから成り立っています。
素晴らしい図ですね。
ブランド品を売りたい人がブランディアを訪れると、次の3ステップで買取が完了します。
① オンラインでの買取申し込み
② 宅配キットが届いたら品物を詰めて送る
③ 査定結果に応じて買取か返却を選ぶ
買い取られた商品はデファクトスタンダードが有する物流拠点にストックされ、オークションサイト(自社、ヤフオク、eBay)を通じて販売されます。
事業モデルとしては極めてシンプルですが、ここ数年で急成長しているフリマアプリと真っ向からぶつかり合う事業であると言えます。
もっといい図が有価証券報告書にあったので記載しておきます。
環境が劇的に変化する中で、デファクトスタンダードはどのようにして戦っているのでしょうか?決算説明資料をみてみます。
大前提として、事業領域であるリユース市場の長期的な成長が強調されています。
ブランド品やアパレルのリユース市場規模は2015年時点で3901億円で、2年連続で10%の市場成長となっていました。
その成長が今後も続き、2030年にはリユース市場全体で2.17兆円に達すると見込んでいます。
ブランド品の市場規模が膨らんでいくという前提に立てば、次に重要なのは「その中でマーケットシェアを拡大し続けることができるか?」という点になります。
それについてはどう考えているのでしょうか?
今までのリユース市場では、リアル店舗での対面買取や、ネットオークションなどの形態が主流でした。
しかし、ここ数年でフリマアプリやアパレルECの下取りサービス(多分ZOZOTOWNのこと)など、新しいジャンルが勃興しています。
彼らのロジックでは、これによってリユース市場の成長か加速するのではないか、とむしろ楽観的です。
一方、さらに成長を続けるためにはマーケット内でのシェアを拡大しなくてはなりません。
今後は、1万円以上で売れるハイブランドはフリマアプリ、それよりも下の価格帯ではアパレルECによる下取りが強くなるのではないか、とみているようです。
デファクトスタンダードのメイン市場は上の図でいう「Second Brand(単価1000円から1万円)」であり、そこではアパレルECとガチンコ対決になると考えているようです。
前述のように、デファクトスタンダードは「Second Brand」を主な対象市場としていました。その中でとってきた戦略が次の3つです。
一つ目は、より低い単価の商材でも利益を出せるオペレーション作りです。
出品業務をクラウドソーシングなどを活用した在宅ワークに寄せていくことで、変動費を圧縮。
また、自社サイトでの販売を強化し、全体の20%ほどに上昇させています。それによって他プラットフォームへの依存による販売手数料を減らすことができます。
二つ目は、テレビコマーシャルや検索エンジン最適化(SEO)を使った集客モデルの改善です。それにより、買取の申込数は増加したとのこと。
また、海外向けの販売も強化しているとのことです。これは正直、2.9%でドヤられても。。という印象です。
来期の戦略として、デファクトスタンダードは次の3つを挙げています。
まずは、強みである低単価アパレル商品の買取を、今後も推し進めていくという構えです。
ブランディアでは、複数の品物を丸ごと宅配で買取査定することができるので、一品ずつの出品を基本とするフリマアプリと比べると、安い商品に対して優位性があると言えます。
二つ目は、より高価格帯の商材の強化です。アプリやポイントなど、4つの戦術を掲げていますが、具体性には欠けています。
3つ目は、コスト増への対策です。Eコマースでは物流会社が単価を上昇させる流れがありますが、その中で物流会社を複数の中から柔軟に選択することで、もっとも安い単価を選ぶとのこと。
また、出品業務における在宅ワーカーの割合を引き続き増やしていくことで、さらなるコスト削減を図るとのこと。
それにより、来期は売上120億円、営業利益4.8億円になる見通しとしています。
デファクトスタンダードの市場からの評価を見ると、純利益3億円に対して時価総額は63億円、PERは21倍ということになります。
拡大するリユース市場の中で、同社がどれだけのシェア拡大に成功するか、というのが評価の分かれ目になりそうです。
個人的に注目しているのは、「急拡大するリユース市場の中で、中小プレーヤーは生き残ることができるのか」という点です。
言ってしまえばメルカリやZOZOTOWNが取りきってしまうのかどうかということで、今後も引き続き考えながら注目していきたいと思います。
最後に、過去4年間の財務データのグラフ化をしておきます。
まずは利益率です。
営業利益率、経常利益率、純利益率ともに改善傾向です。
コスト構造です。
原価率は50%弱、広告宣伝費が14%前後と多くを占めています。
資産の内訳です。
2016年の上場により現預金が1.5億円から23億円に増加しています。
負債と自己資本の内訳です。
利益剰余金は11億円と、規模の割には大きいと言えます。その他、資本金と資本剰余金の合計が23億円ほどになっています。
最後に、キャッシュフローです。
営業キャッシュフローは年間3億円ちょっとにまで増えています。
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