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現在はまだ小さいがとても大きな可能性を感じさせる「Twilio」のビジネスモデル

  • Twilioのビジネスモデル
  • 収益構造
  • コスト構造
  • 財政状況とキャッシュフロー
  • Twilioの事業ポテンシャル

今回は、開発者向け有料APIの提供でナスダック上場を果たした「Twilio」について調べます。

創業者のジェフ・ローソン氏はいわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)です。

最初は大学時代、講義ノートのオンライン・マーケットプレイスとして「Versity」を立ち上げます。ベンチャーキャピタルから1000万ドルもの出資を受け、経営幹部を雇い入れますが、信念を持ち続けられずに売却。

次は、オンラインチケット販売サイト「StubHub(現在はeBay傘下)」の創業に参加し、一日21時間という激務をこなします。しかしジェフはライブイベントは好きではなく、燃え尽きてしまいます。

今度はエクストリーム・スポーツのための小売店をはじめますが、これも「スノーボードが売れる必要を感じられず、顧客も店も全て嫌いになってしまった」ために頓挫。

ジェフは自分に足りなかったのは「信念」であることに気づき、すべての仕事の中で一貫して必要だったテーマとして「コミュニケーション」を見つけます。


紆余曲折を経たあと、開発者向けに自動でSMSを飛ばすツール「Twilio」を開発。創業が2008年と最悪のタイミングだったこともあり、当初はベンチャーキャピタルからの出資を一切得られなかったそうです。

投資家からは断られ続けるも、実際に使い、お金を払ってくれるユーザーに励まされ、事業を継続。

その結果が現在の姿ということになります。

参考:「How Jeff Lawson Founded Twilio: Build with Conviction or Risk Burnout」


過去4年間の損益推移です。

売上は2.77億ドル、営業損失が4131万ドルということでまだまだ規模も小さく利益も出ていませんが、売上成長率は60%超という高いレベルをキープしています。

本エントリでは、Twilioのビジネスモデルと事業KPIについて整理した上で、同社の将来性について考えてみたいと思います。



Twilioのビジネスモデル

Twilioが展開する事業の根幹にあるのは「業務などに関わるコミュニケーションを可能な限りソフトウェアで置き換えること」です。

音声、メッセージ、動画などのコミュニケーション手段を、プログラミングにより自動化することができる枠組み(API)を開発者向けに提供しています。

Twilioのビジネスは、次の大きく3つの側面から成り立っています。

1. Programmable Communications Cloud

一つ目は「プログラム可能なコミュニケーションクラウド」という側面です。

「TwiML」と呼ばれる専用言語を用いて記述することで、課題を柔軟に解決することができます。

Twilio側はユーザーに対して完全なソリューションを提供するのではなく、ユーザー自身が自社に必要なものを組み立てるというスタンスです。

2. Super Network

1つ目の「Programmable Communications Cloud」はグローバルなソフトウェア階層の上に作られており、このレイヤーを「Super Network」と呼んでいます。

Twilio自身は物理的なネットワークインフラを有しておらず(全てAmazon Web Service上)、ユーザーの効用を最適化するようなネットワークをソフトウェアとして構築しているようです。

3. Business Model for Innovators

3つ目は、イノベーションを促進するビジネスモデルであるという点です。

ソフトウェア・ベンチャーにとって、よくある機能を再発明することはイノベーションを阻害する要因になります。

なので、初めはオリジナリティに関わるコアな機能だけを自社で開発するのが理想。Twilioは彼らに対して使いやすいAPIを提供します。

それが彼らのニーズにマッチしていれば使い続けてもらい、彼らの事業が成長するにつれてTwilioの利用量も増え、収益も増加していくことになります。


収益構造

Twilioの顧客数は次のように増加しています。

16,631アカウントから2年で36,606アカウントへと、2倍以上に増加しています。

アクティブアカウントあたりの売上も計算してみます。

アカウントあたりの平均売上は5300ドルから7500ドルへと1.5倍ほどに増大しています。顧客企業の成長とともに売上が伸びていくモデル。


地域ごとの売上も見てみます。

全体売上2.7億ドルのうち、アメリカでの売上が2.3億ドルとかなりの部分を占めています。

コスト構造

続いて、Twilioのコスト構造についても見てみます。

売上原価率が44%前後とソフトウェア企業にしては大きめですが、少しずつ改善しています。

売上原価にはAWSに対するクラウド上のサーバー代のほか、カスタマーサポートの人件費、電話やテキストメッセージに関する共同事業者へのフィーが含まれています。


セールス・マーケティング費用(Sales and marketing)も37.5%から23.5%、一般管理費(General and administrative)も21.3%から18.4%へと改善傾向です。

一方、研究開発費用は24.6%から28.1%へと売上に対しても増加しています。


営業「損失」率自体は次のように改善傾向です。


財政状況とキャッシュフロー

続いて、Twilioの財政状態についてみてみます。まずは資産の内訳です。

総資産はわずか4.1億ドルと、かなりバランスシートは小さくなっています。さらに、そのうち現金同等物が3億ドルと大きな割合を占めています。


資産の調達源泉を表す、負債と自己資本です。

資本剰余金(Additional paid-in capital)が5.1億ドルとかなりの部分を占めています。

累計損失額(Accumulated deficit)は1.9億ドルほど。


最後にキャッシュフローです。

財務活動によって調達した資金(Cash by financing activities)で事業を回していることがわかります。

営業キャッシュフローは2016年には少しプラスになっています。


Twilioの事業ポテンシャル

最後に、Twilioの事業の可能性について考えたいと思います。

アナリスト向け資料によると、Twilioの事業は3.5兆ドルの世界中のIT予算のうち、4割を占めている「コミュニケーション」の費用をディスラプトするものだとしています。

あまり腹落ちはしませんが、1.4兆ドル(150兆円以上)の市場規模があることになります。

そして具体的には、IT業界に次のような既存プレイヤーがいます。

ネットワークではAT&T、通信機器ではシスコ、アプリケーションではオラクルなど、それぞれの階層で大きなシェアを占めている大企業があります。このようなプレイヤーが世界中、それぞれのマーケットに存在します。

Twilioのアプローチは、それぞれの階層を次のように代替することです。

専門家は開発者に、アプリケーションはコンポーネント化され、インフラはクラウド上に仮想化されます。

現在提供しているのは音声とSMSがメインですが、領域も次のように広げていきます。


ファックスだけ少し古めかしいですが、、将来的にはホログラムまで提供するつもりのようです。

Twilioのビジネスモデル上もっとも特徴的なのは、「消費者向けのようにユーザー(開発者)を集め、ビジネス向けのようにお金を使ってもらう」モデルになっていることです。

つまり、現在Twilioをヘビーユースしているプレイヤーが成長を続ける限り、Twilioの売上もずっと伸び続けることになります。

Twilioを利用している有名企業にはNetflix、airbnb、Intuit、DELL、 zendesk、lyft、Uber、salesforce、hulu、box、Twitter、yelp、shopifyなど、枚挙に暇がありません。

彼らが全体として成長していく、というのはほとんど間違いないことであり、そうするとTwilioの成長もかなり固いものと言えるのではないでしょうか。

現在は売上数億ドルと、まだまだ規模の小さいTwilioですが、数年後には面白いことになっているかもしれません。今後がとても楽しみです。

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