海外売上が6割!実はグローバル企業だった「キッコーマン」

海外売上が6割!実はグローバル企業だった「キッコーマン」

今回まとめるのは大手食品メーカーの「キッコーマン」(証券コード:2801)です。

キッコーマンはしょうゆ業界最大手で、その他にも数多くの大豆製品を取り扱うことで有名です。

沿革:しょうゆ作りは江戸時代初期からスタート

キッコーマンのしょうゆ作りが始まったのは江戸時代初期と言われています。

現在の千葉県野田市は江戸へのしょうゆ供給地として栄えていました。

しょうゆの基本の原料は大豆、小麦、塩です。

関東平野で育まれた良質な大豆と小麦、江戸湾の塩など、野田市はしょうゆの原料確保に最適の土地だったそうです。

そして1917年(大正6年)、野田市のしょうゆ醸造家一族が合同して設立したのが、キッコーマンの前身となる会社「野田醤油株式会社」です。

設立当初は、しょうゆの商標が200以上あったようですが、1940年までに「キッコーマン」に統一されます。

キッコーマンの名前の由来に関してですが、野田醤油の祖先が千葉県香取市にある香取神宮の神職だったそうで、その神宮の神域の山号が「亀甲山」でした。

「鶴は千年、亀は万年(萬年)」という言葉と組み合わせた「亀甲萬」という印を、数多くの商標があった醤油の中で最上級の醤油に付けることとなりました。

この「亀甲萬」をカタカナにして商標としたのが「キッコーマン」です。

2009年の持ち株会社移行後キッコーマンの業績は上向いており、2018/3期の売上は4,306億円まで増加しています。

2018/3期の営業利益率も8.5%に上昇しました。

国内外の売上構成比を見ていくと、2015年に海外売上の割合が国内売上を抜いており、2018年には全体売上の58%が海外売上となっています。

しょうゆを扱う企業なのでドメスティックな企業だと思っていたのですが、実はめちゃめちゃグローバル企業だということがわかります。


海外事業:アメリカの肉食文化にしょうゆがマッチしたことで売上拡大(+8%)

国内外の売上構成比で見たように、キッコーマンにおける海外事業の重要度は年々高まっています。

地域別の売上推移を見ていくと、北米の売上が最も大きく今期の売上は1,855億円あります。

海外事業の75%を北米が占めていますが、どのようにしてこれほどまでの業績を積み上げてきたのでしょうか。

アメリカに進出したのは1957年で、実は60年以上前からキッコーマンは海外事業に乗りだしていました。

アメリカでのしょうゆの普及は、肉料理としょうゆの相性のよさを伝えたことで飛躍的に広がったそうです。

“Delicious on Meat”というキャッチフレーズでプロモーションを行い、スーパーなどで試食を促した結果、しょうゆと肉がよく合うということが理解されていきました。

その際に、しょうゆと肉の組み合わせを容易にするために開発されたのがテリヤキソースで、「テリヤキ」はアメリカの辞書にも記載されるほどアメリカの文化に馴染んでいるとのこと。

製造・販売と卸売りの売上を見ていくと、卸売りによる売上が1,358億円と北米事業の売上の70%を占めていることがわかります。

「製造・販売事業」は主にしょうゆを製造販売していますが、卸売り事業は「米・味噌・酒」などを仕入れてウォルマートなどの小売チェーン店に向けて販売する事業です。

近年はアジア系マーケットにとどまらず、ローカルマーケットにもしょうゆ以外の食品(1万点以上)を卸売りすることで、売上拡大しています。


国内事業:健康志向の高まりを背景に「飲料」の売上が10%増加

国内事業におけるキッコーマンの商品セグメントは、主力の「しょうゆ」やめんつゆなどを主に扱う「食品」、豆乳をはじめとした「飲料」、料理酒など「酒類」の4セグメントに分かれます。

セグメント別の売上を見ていくと、全体的に横ばい状態にある売上ですが、飲料セグメントは売上増加傾向にあります。

飲料セグメントの今期の売上は507億円と、前年同期から50億円近く売上が拡大しています。

飲料事業の売上成長率を見ると、2018/3期は10.2%と2ケタ成長です。

飲料事業の成長要因を見ていくと、近年の健康志向の高まりを背景に豆乳飲料の市場が拡大傾向にあるようです。

また、「よもぎ餅味」など一風変わった商品を展開することや、TVCMによる宣伝広告で需要を喚起したことにより、豆乳飲料の売上が増加しています。


財政状態:利益剰余金がBSの69%を占める

キッコーマンのコスト構造を見ると、売上原価率が60%、販管費率が31%となっています。

販管費率は緩やかに減少傾向にあり、それに伴い営業利益率は上昇傾向にあります。

バランスシートを確認すると、総資産は3,470億円に対して醸造所といった有形固定資産が1,101億円と資産全体の30%を占めます。

現預金は221億円、投資有価証券が651億円で、現金・金融資産の合計が902億円。

資産の調達原資となる負債純資産の部を見ていくと、利益剰余金が2,386億円とバランスシートの69%を占めています。

有利子負債は167億円ほどとなっています。

営業キャッシュフローは増加傾向が続いており、今期は376億円あります。

フリーキャシュフローも安定的に稼ぎ出しており、今期は204億円となっています。

2018年11月19日時点の時価総額は1.18兆円です。

そこから金融資産902億円、有利子負債167億円を加味すると、企業価値(EV)は1.1兆円となります。

これを2018/3期のFCF204億円で割ると、54年分の評価を受けている計算となります。


事業展望:欧州市場で10%の成長を狙う

キッコーマン 中期経営計画

キッコーマンは中期経営計画にて、2020年度の売上5,000億円、営業利益450億円を目標に掲げています。

現在の売上が4,300億円、営業利益率が365億円ほどですから、700億円の増収と85億円の増益を掲げていることになります。

では一体どのような戦略でこの目標を達成するのでしょうか。


海外事業:欧州で年平均10%の成長を目指す

キッコーマンは北米、欧州、アジア・オセアニアに進出しています。

海外のメイン事業は北米事業ですが、今後さらに海外売上を拡大するために欧州地域での成長に力を入れていきます。

実際に過去の増収率推移を見ていくと、欧州地域の売上成長率が最も高く、今期は売上が21%成長をしています。

2017年の売上成長率はガクッと下がっているように見えますが、これは円高による為替換算の影響を受けたためで、現地通貨ベースでは前年同期の売上を上回っているようです。


国内事業:高付加価値商品の拡大

国内事業の戦略としては「高付加価値商品の拡大」を掲げています。

高付加価値商品とは減塩しょうゆや「やわらか密封ボトル」に入った生しょうゆなどがあります。

2018年/3期決算説明会の質疑応答にて、今後は高付加価値商品へのシフトで利益率が改善していくと発表しています。


参考資料

キッコーマンしょうゆの歴史

キッコーマンの由来・意味

キッコーマンが米国に根付かせた「日本の味」

空前の日本食ブームの陰の仕掛け人

「キッコーマンの国際事業 食文化の国際交流・上海万博を中心として 」