『ZOZOSUIT』なしでPB商品が購入可能に!30億円のコストカットを掲げる「ZOZO」2019年3月期2Q決算

『ZOZOTOWN』などを運営する「ZOZO」(証券コード: 3092)が社名変更後としては初の決算を発表しました。

2019年3月期2Q決算説明資料

まず彼らのEC事業を見ていくうえでチェックしたいのは商品取扱高です。

前年比で右肩上がりの増加が続いており、19/3期2Q(7月〜9月)の商品取扱高は708.1億円となりました。

対前年の増加率は17.9%と、これまでの急速な拡大と比べれば緩やかな伸びとなってきています。

売上高は272.1億円でトップラインは堅調に推移しています。

一方、営業利益は41.7億円で減益となりました。

売上高に対する営業利益率は15.4%と前四半期に続いて大幅に低下。

商品取扱高に対しては5.9%まで下がっています。

ビジネススーツの納期が遅れてPB事業は目標未達

ZOZOのEC事業では、出店ブランドのEC運営を受託する「受託ショップ」が成長を牽引してきました。

商品取扱高の90%以上を「受託ショップ」が占める構図は変わっていません。

19/3期に入って変化が表れ始めているのは「PB(プライベートブランド)」事業の比率が上昇している点。

「PB」事業は採寸用ボディースーツ『ZOZOSUIT』を活用したTシャツなど自社ブランドの販売事業です。

ZOZOは9月10日、『ZOZOSUIT』の通常注文受付を開始したと発表しました。

2018年5月には予約数100万件を突破しており、これまでは注文完了から送付まで平均150日を要していたとのこと。

しかし、生産体制を拡大したことによって9月からは注文後すぐに発送できる状態になりました。

7月からはビジネススーツの注文受付も開始し、PB商品は14種類(女性は12種類)まで拡充しました。

『ZOZOSUIT』の大量配布と商品ラインナップ強化が功を奏して「PB事業」の商品取扱高は急増しています。

前四半期の商品取扱高は1.1億円ほどでしたが、今四半期は約5.5億円と3か月で5倍に増加しています。

しかし、前四半期に発表した計画値15億円には届かないという結果に。

受注額は15億円を超えていたものの、ビジネススーツの生産が間に合わなかったことで達成率は36%程度にとどまりました。

ビジネススーツについて前澤社長は決算説明会で「年内には納品できる見込み」であると説明しています。

前四半期比で1.7倍の広告費を投下

PB商品の取り扱いが急増しているZOZOですが、営業利益率は大幅に低下してしまっています。

コスト構造をチェックしてみると、売上原価率は9.1%で横ばいに推移。

対して販管費率は75.6%まで上昇しました。

直近の詳細な販管費を追いかけてみると、荷造運賃とプロモーション費用がさらに膨らんでいます。

荷造運賃の上昇はヤマト運輸の運賃変更に加え、初回無料である『ZOZOSUIT』の大量配布が主な要因です。

「PB」事業へ広告費を大量に投下しているため、プロモーション費用は前年から8.0pt上昇しました。

今四半期の広告宣伝費は27.4億円と、前四半期から11.9億円も増加しています。

「PB」事業は7月から海外展開をスタートしており、商品の無償プレゼントキャンペーンを実施したことも広告費拡大につながっています。

「受託ショップ」のテイクレートが約30%に上昇

PB事業への投資で営業利益率が低下する一方、売上高は28.1%増収と堅調に推移しています。

引き続きZOZOの収益を支えているのは『ZOZOTOWN』の「受託ショップ」事業です。

「受託ショップ」事業の売上は192.7億円まで増加し、売上全体の70%以上を占めています。

「買取ショップ」事業と「ZOZOUSED」事業の合計は36億円、「B to B」事業は4.4億円となっています。

『ツケ払い』サービスや広告事業などを含む「その他」売上は33.7億円まで増加しました。


収益の中核を担う「受託ショップ」の商品取扱高を確認してみましょう。

今四半期の商品取扱高は647.2億円で、前年から17.2%増加しました。

商品取扱高に対するZOZOの取り分(売上高)の比率は上昇し続けており、今四半期は29.8%まで達しています。

1Q決算後から株価が大幅に下落し、現在の時価総額は8,526億円

ZOZOの財政状態を確認していきます。

総資産700.0億円に対して現金は191.9億円で、資産全体の27.4%となっています。

資産の調達元である負債・純資産を見てみると、利益剰余金が388.3億円まで積み上がっています。

短期借入金は240.0億円で、自己株式244.1億円を取得して株主への利益還元も行なっています。

6か月間の営業キャッシュフローは25.9億円で、プラス幅は大幅に縮小。

上半期の暫定ではありますが、フリーキャッシュフローは18/3期の153.2億円と比較して10分の1程度となっています。


株価はどのように推移しているでしょうか。

1Q決算を発表した7月末から株価は下落が続いており、現在の時価総額は8,473.6億円と1兆円を割っています。

現金191.9億円と借入金244.0億円を加味した企業価値(EV)は8525.7億円。

年間のフリーキャッシュフローを29.2億円と仮定した場合292.0年分の評価を受けている計算になります。

PB商品は『ZOZOSUIT』なしで注文が可能に

株価の下落が続くZOZOですが、今期の業績目標に対する進捗は順調なのでしょうか。

商品取扱高の目標3,600.0億円に対して上半期の実績は1,412.2億円と、39.2%の進捗率です。

売上高の進捗率は36.6%で、営業利益に関しては25.1%程度となっています。

事業別の商品取扱高については、やはり「PB」事業の遅れが目立っています。

「PB」事業に関して前澤社長は今回の決算説明会で『ZOZOSUIT』なしでもPB商品の注文が可能になることを発表しました。

19/3期2Q決算補足資料

ZOZOのPB商品は『ZOZOSUIT』での採寸によるオーダーメイドが売りで、これまで商品を購入するためには自身の計測データを送る必要がありました。

しかし、これまで蓄積してきた計測データやフィードバックを活用することで採寸が不要になるようです。

まずはデニムパンツとTシャツから開始し、今後はビジネススーツも採寸不要となる予定です。


『ZOZOSUIT』が不要になるため大幅なコスト改善も見込めるとのこと。

『ZOZOSUIT』の配布量を半減することで約30億円のコスト減を掲げています。


PB商品の取扱高200億円を達成するためには残り6か月で180億円以上の受注が必要な状況。

"『ZOZOSUIT』不要"という新たな一手でどこまで巻き返しを図れるのか、引き続き動向をチェックしていきたいと思います。