中国での中古車ECシェア40%!ローン仲介で売上爆増の中古車ECプラットフォーム「Uxin」

今回は中国で中古車ECサービスを提供する「Uxin」について取り上げます。

公式HP

創業者は北京出身のKun Dai氏。

カーディフ大学でMBAを取得し2005年に中国初のオンライン中古車サイト『CarResume.com』を開発。

Bitauto」での勤務を経て、2011年に法人向け中古車取引サービスを提供するUxinを創業しました。

2015年に個人向け中古車EC『Uxin Used Car』をスタート。

2018年6月にNASDAQへ上場しました。

中古車EC市場ではトップシェアを誇っており、現在は270都市以上に670もの店舗を構えています。


業績推移を見てみましょう。

業績が急速に拡大しており、2018年上半期は13.2億元(215億円)の売上。

17/12期は前年から売上が倍増しています。

営業利益は出ておらず、損失額は売上高を上回っています。


個人向けサービスの売上が3倍増

Uxinが手がける中古車ECサービスは、法人向けの『Uxin Auction』と個人向けの『Uxin Used Car』に分かれています。

いずれもマーケットプレイス型のビジネスモデルとなっており、Uxinは取引の場を提供。

購入代金の一部を取引手数料として徴収するのが収益の一部です。

それぞれのサービスをチェックしていきましょう。



Uxin Auction(B to B)

Uxinの創業事業は法人向けの中古車取引サービス『Uxin Auction』です。

カーディーラーなどが商品を調達するために利用するサービスで、モバイルアプリを通じた入札形式での取引となっています。

入札状況は「Virtual trading lobby」で確認することができ、購入に成功した場合はモバイルアプリ上から配送を依頼することもできます。


Uxin Used Car(B to C)

『Uxin Used Car』は2015年にスタートした個人ユーザー向けの中古車ECサービスです。

(『Uxin Used Car』)

ユーザーは『Uxin Used Car』を通じて自動車の購入が可能で、中古車だけでなく新車も取り扱っています。

また、乗らなくなった自動車は『Uxin Used Car』上で売却することもできます。

国内のブランドだけでなく、BMWやメルセデス・ベンツ、アウディなどの外国車も豊富に取り扱っています。

もちろんトヨタ、ホンダ、日産といった日本車も販売しています。

中古車はUxinの整備員が審査しており、多くの商品にはUxinによる保証を付与しています。

商品の購入ページには車のサイズやこれまでの走行距離などの詳細なステータスが掲載されています。

さらには審査を行なった整備員が中古車の状態を動画で紹介

ユーザーは車を直接見に行く必要がありません。

国内270都市を網羅しており、店舗数は670店舗以上まで拡大しています。 


その他

Uxinは『Uxin Auction』や『Uxin Used Car』ユーザー向けに廃車サービスも提供しています。

ユーザーは対象車両の取引価格に対して8〜15%の金額を支払うことで、不要となった自動車をUxinに引き取ってもらうことができます。

そのほか、ディーラー向けには倉庫を利用するためのローンプログラムも提供。

2か月間の簡易ローンとなっており、ビジネスを始めるための支援をしています。


セグメント別売上高を確認してみましょう。

創業事業の『Uxin Auction』は17/12期の売上が5.2億元(84億円)で、前年から77%の増収となりました。

『Uxin Used Car』は前年から196%増加し、売上は11.7億元(191億円)まで拡大。

流通台数も急増しています。

17/12期は『Uxin Used Car』の流通台数が前年から2倍以上増加し、28.4万台となっています。

『Uxin Auction』は41%増の35万台。

B to CサービスがUxinの成長を加速させているということがわかります。


自動車ローン手数料が売上全体の半数以上を占める

B to Cサービスが急速に成長している背景には自動車ローンの普及があります。

Uxinは2016年から自動車ローンの提供を開始しました。

パートナーシップを結んでいる「中国中信集団(CITIC)」や「中国工商銀行(ICBC)」がローン提供者で、Uxinは仲介手数料を受け取ります。

商品のグレードに応じて前払い代金が定められており、分割期間は2年から4年、年利は7〜8%程度となっています。

17/12期のローン手数料収入は9.4億元(153億円)にのぼっており、収益の柱となっていることがわかります。

『Uxin Used Car』における流通台数の内訳を見てみると、ローン利用は45%となっています。

ローン組成額および『Uxin Auction』『Uxin Used Car』の流通総額(GMV)を確認してみましょう。

17/12期のローン組成額は前年から倍増し、130.7億元(2,133億円)となっています。

B2CサービスのGMVは260.2億元(4,247億円)で前年から66%の増収。

B2Bサービスも173.8億元(2,837億円)まで拡大しました。

流通総額のうちUxinの取り分がどれだけあるかを示すテイクレートも算出してみます。

テイクレートは全体的に上昇傾向にあります。

ローン仲介による手数料レートは7%台に上昇。

『Uxin Auction』は3.5%、『Uxin Used Car』の取引手数料は5.3%まで高まっています。


車検エンジニア2,500人体制を構築

Uxinのコスト構造をチェックしていきます。

売上原価率は大幅に低下し、36.6%となっています。

テイクレートの上昇が売上原価率の改善に大きく寄与しています。

一方、17/12期の販促費率は112.9%まで増加しました。

中国各地に店舗を構えるUxinは1万2,461人もの従業員を抱えています。

セールスが5,963人で最多となっており、審査を行なう車検エンジニアは2,581人です。

カスタマーサポートにも505人を配置しています。

なお、2018年上半期に一般管理費が上昇しているのはIPOによって株式報酬費用(share-based compensation)が増加したためです。


バランスシートもチェックしていきましょう。

総資産74.0億元(1,208億円)のうち、キャッシュの合計が26.9億元(439億円)です。

調達原資である負債・純資産を確認してみると、払込資本が128.1億元(2,091億円)で最も大きくなっています。

対して、累積損失は97.7億元(1,595億円)まで増加しています。

借入金は13.3億元(217億円)ほど。


キャッシュフローもチェックしていきましょう。

営業キャッシュフローは大幅なマイナスとなっています。

株式だけでなく有利子負債による借入も行ないながら積極的な投資を行なっています。


株価の推移も見てみましょう。

2018年6月に上場してから株価は軟調に推移しており、現在の時価総額は17.7億ドルとなっています。

キャッシュ26.9億元(3.9億ドル)と有利子負債13.3億元(1.9億ドル)を考慮した企業価値(EV)は15.7億ドル。

年間の売上高を26.4億元(3.8億ドル)と仮定した場合、4.1倍の評価を受けている計算となります。


中古車の流通台数は5年で2.4倍増

中国の中古車市場について目論見書から整理していくと、中国における中古車の流通台数は2017年時点で1,240万台となっています。

アメリカの場合は4,150万台ですので、人口比で考えると現時点で中国の流通台数はまだまだ少ないといえます。

今後は年平均成長率(CAGR)19%で推移し、5年後の2022年には2.4倍となる2,950万台まで増加する見込み。

中国ではこれまで中古車の地域間取引が規制されており、北京など最高レベルの排ガス規制を設けている都市は多くの地域と中古車の売買ができませんでした。

中国政府は2016年から地域間取引規制の緩和を開始しており、2018年3月時点で135都市まで取引を解禁。

規制緩和が中古車市場の拡大をさらに加速させる要因となりそうです。

中古車取引のEC比率はどの程度あるのでしょうか。

2013年の中国における中古車取引のEC比率はわずか2.7%でした。

2017年は12.5%まで上昇し、流通台数は160万台まで増加しました。

2017年のUxinの取引台数は合計で63万台でしたので、Uxinはマーケットシェア39.3%を握っているということになります。

Uxinの調査ではB to C市場におけるシェアが41%、B to B市場では42%まで上昇しているそうです。


中古車流通の潤滑油となるのは中古車ローンの拡大です。

中古車ローン市場は現在、723億元(1.2兆円)ほど。

年平均成長率45.6%で急速に拡大していき、5年後には6.5倍となる4,730億元(7.7兆円)まで拡大することが予測されています。

Uxinの中古車取引におけるローン車両台数の比率は45%ですが、中国全体では19%程度です。

一方、アメリカでは中古車取引の54%がローンで行われており、今後の中古車ローン市場拡大には大きな期待がかかっています。


そして、自動車全体のメンテナンス市場はさらに巨大です。

パーツ購入や修理といった自動車購入後のメンテナンス市場(Aftermarket)は2兆4,224億元(39.5兆円)まで拡大する見通し。


中古車販売のEC化やローン市場拡大のけん引役となっているUxinがどこまで成長を加速できるのか、今後の事業展開が非常に楽しみです。


・参考

三菱UFJ銀行「中国における中古車市場の発展は好機を迎えるか」

ZUU online「中国の中古車市場でも規制緩和 進むネット取引、日本車が高い人気」