前年から60%の増益!課金売上の増加が止まらない「テンセント」2017年決算数値まとめ

中国インターネット企業の巨人、テンセント・ホールディングスの2017年決算が出たのでまとめておきたいと思います。


まずは早速、全体の業績推移から見てみます。

すごいグラフですね。。

2017年の売上は2378億元(約4兆円)、営業利益は903億元(1.5兆円)。

前年と比べると56.5%の増収、60.1%の増益となっています。


今回のエントリでは、昨日発表されたばかりのプレスリリースから、テンセントの事業数値を昨年までとつなげてビジュアライズしていきます。

要点を書いておくと、以下の5点になると思います。

・SNSは引き続きWeixin/WeChatが牽引、MAU9億8860万に

・「Tencent Video」はモバイルDAUと課金者数で中国最大に

・売上の65%が課金で、広告や決済サービス売上も伸長

・「Weixin Pay」の商用取引の取扱高が急速に成長しており、中でもオフラインの取引高が前年同期と比べて2倍に増加。

・フリーキャッシュフローは前年から70%の増加


テンセントが有するSNSのMAU:Weixin/WeChatが牽引

テンセントは、自社が抱えるコンテンツやサービスを活用した「Connection」戦略を掲げています。

その中で重要なのは、「QQ」「Weixin/Wechat」「Qzone」という3つのプラットフォームにどれだけ多くのユーザーがいるかです;

QQ

「QQ」の月間アクティブユーザー数は微減で、2017年4Qには7億8340万人となっています。

そのうち、スマホなどのスマートデバイスは6億8300万人、PCU(peak concurrent user accounts、最大同時接続人数)は2億7080万人。


Weixin/Wechat

一方の「Weixin/WeChat」は勢いがあります。2017年4Qには月間アクティブユーザー数9億8860万人に。

堅調な拡大を続けています。

念のため書き添えておくと、「Weixin」は国内向け、「WeChat」は海外向けのSNS。

Qzone

Qzoneは減少していますが、それでも直近でMAU5億6330万人という水準で、そのほとんどがスマートデバイスになっています。


売上高の内訳

ゲームなどの課金(Value-added services)が一貫して高い割合を占めています。

2011年までの数値を見ると、モバイル以外の課金売上の比率が80%とかなり大きかったようです。

その後は両者がごっちゃにされ、2017年時点で課金売上が全体の65%を占めています。

同じく2017年、広告売上が17%、その他売上が18%とそれぞれ大きくなっていることも分かります。


続いて、それぞれの具体的な数値を、各項目の説明とともにチェックします。

少し紛らわしいものの、グラフは年次売上ですが説明は2017年4Qに関する内容です。そっちの方が詳しく説明されていたので、そのようにしました。

課金売上:スマホゲームと動画ストリーミングが急成長

課金売上は、2017年には1540億元(2.6兆円)もの売上をあげています。前年から42.8%の成長。


①オンラインゲーム(2017Q4)

パソコンゲームがおよそ128億元(2145億円)もの売上をあげています。(前年比13%増)

中でもDnFとLoLがヒット。

パソコンのアクティブユーザー数自体は、モバイルへの転換が進んでいるために減少しています。

パソコンゲームの売上は、今後もモバイルシフトが進んでいくに伴い、影響を受けるだろうとコメントしています。

今後も、プロのeSportsトーナメントを主催したり、PUBGやFortniteなどの新タイトルを出したり、外部パートナーのゲームを出したりすることで成長を図っていきたいとのこと。


スマートフォンゲームの売上は169億元(2831億円)で、前年同期から59%の増加。

アクティブユーザー数は堅調だが、ARPUは前四半期と比べて減少。

②デジタルコンテンツ(2017Q4)

有料サブスクリプション加入者数の合計は前年から22%増えて、1億3500万人に。

主に寄与したのは動画と音楽のストリーミングで、「Tencent Video」はモバイルDAUと課金者数で中国最大となった。

モバイル動画のDAUは44%増えて1億3700万人になり、課金者数は121%増えて5600万人となった。(2018年2月には6260万人に)

2017年4Qの課金売上は399億元(6700億円)あり、そのうち128億元がPCゲーム、169億元がスマホゲームなので、残り102億元(1700億円)ほどがデジタルコンテンツということになるでしょうか。

オンライン広告:動画分野が大きく成長

オンライン広告売上は、前年から49.9%増加して404億元(6768億円)に。

メディア広告では、動画分野が引き続き大きく成長し、中でも(グループ内だが)「Honor of Kings」の番組「王者出擊」が人気。

ニュース売上は前年同期と比べて減少している。新しいニュースフィードの広告運用システムを公開したところで、まだ改善中とのこと。

ソーシャルその他の広告売上では、ターゲティング機能を強化したことが売上増につながったとのこと。

それぞれの内訳は記載されていませんでした。


その他売上:決済サービスのオフライン取扱高が倍増

2017年の「その他」売上は433億元(7255億円)と前年から121%の爆増を記録しています。

その主要な理由は、決済サービスとクラウドサービス」の成長。


「Weixin Pay」の商用取引の取扱高が急速に成長しており、中でもオフラインの取引高が前年同期と比べて2倍に増加。

大手金融機関や保険会社との提携により、金融サービスは速いスピードで成長しているとのことです。

「Tencent Cloud」は21の地域と36のアベイラビリティ・ゾーンで運用。


また、スーパーマーケットやデパートなどを対象に、「スマート小売」ソリューションも提供。


その他の事業数値

最後に、バランスシートやキャッシュフローなどの事業数値も載せておきます。

資産の内訳

総資産5547億元(9兆2953億円)のうち、現金同等物は1057億元(1.8兆円)。

関連会社などへの投資として1138億元(1.9兆円)、売却可能金融資産として1272億元(2.1兆円)を計上。

負債と自己資本

バランスシートの反対側を見ると、利益剰余金(Retained earnings)が2027億元(3.4兆円)と大きく積み上がっています。

借入金(Borrowings)は978億元(1.6兆円)。

キャッシュフロー

営業キャッシュフローは1061億元(1.78兆円)に達し、964億元(1.6兆円)を投資キャッシュフローに回しています。

財務キャッシュフローは意外にもプラスですが、これは長期借入金を毎年増やしているからのようです。

先ほども見ましたが、2017年末の借入金は978億元(1.6兆円)に。


フリーキャッシュフローは前年から70%の増加とのこと。

こちらも具体的な数値はまだわかりませんが、前年が467億元なので、795億元(1.3兆円)と計算できます。

テンセントの時価総額は現在58兆円あり、流動手元資金が5兆円くらい、有利子負債が2兆円くらいとするとざっくり55兆円の企業価値(EV)。

それにフリーキャッシュフローが1.3兆円とすると、EV/FCF倍率は42倍ということになります。