『ZOZOSUITS』関連に15億円!高収益企業「スタートトゥデイ」の利益率が低下した要因を整理

前澤社長が率いるスタートトゥデイの決算が発表されました。

「ZOZOSUITS」をはじめ、社内外で話題の多い同社ですが、今回の決算はどうなっているでしょうか。

2019年度1Q決算説明資料

まずは、商品取扱高の推移を見てみましょう。

今までと引き続き、右肩上がりの成長を続けています。

今回の決算では、商品取扱高は704億円となりました。

前年からの増加率は18%と、1年前までと比べるとやや落ち着いています。

売上高は265億円、営業利益は59億円となりました。

営業利益率は22.1%となり、1年前の37.21%と比べるとかなり下がっています。

商品取扱高に占める営業利益は8.3%。


スタートトゥデイの事業規模は引き続き拡大しているようですが、その一方で収益性は低下しています。

どうして営業利益率が低下しているのか?

まずはじめに、利益率が下がってしまった理由について考えてみましょう。


スタートトゥデイの事業は、出店ブランドからオンラインショップ運営を受託する「受託ショップ」がメインです。

その他、自ら商品を仕入れて販売する「買取ショップ」や、個人ユーザーから中古商品を買い取って販売する「ZOZOUSED」、「ZOZOSUITS」でスタートした「PB(プライベートブランド)事業」、ブランドの自社ECサイトの構築から運営までを受託する「BtoB事業」もあります。


利益率が高いのはメインの「受託ショップ」事業。

スタートトゥデイの利益率が上がってきた大きな理由が、この「受託ショップ」事業の売上比率が増大したことでした。


それでは、受託ショップ事業の売上比率がまた下がってしまっているのでしょうか?

内訳を見てみると、上のグラフのようにほとんど変わっていません。

BtoB事業が縮小し、『ZOZOUSED』が全体の15%を占めるまで拡大していますが、受託ショップ売上は全体の71.5%と高い割合を占めています。

ただこれは、前年同期(1Q2018/3)と比べると1.8%少ない水準であり、利益率低下の原因の一つということはできそうです。

その結果、売上原価率は8.73%と、前年同期の7.53%と比べると1ポイント強ほど上昇しています。

ただ、それほど大きな変化ではありません。

コスト構造が変わったのか?

売上構成があまり変わっていないのであれば、残る可能性は「スタートトゥデイ内部の費用(販管費)の増加」しかありえません。


確かに、同社はプライベートブランド『ZOZOSUITS』をはじめ、研究開発にも多大な費用をさきはじめています。

それが思いのほか重くなっているのでしょうか?

売上に対する販管費の割合は、1年前の55.3%から69.2%へと14ptも上昇しています。

売上総利益(粗利)率は92.5%から91.3%へと1.2ptほど下がっているので、全体で15ptほど営業利益を押し下げたことになります。


これほどまでに販管費が増えてしまった主な理由は、「広告宣伝費」「荷造運賃」の二つ。

荷造運賃については2018年3月期の3Q(2017年10〜12月)から増加しています。

これは、2017年9月ごろに配送運賃が変更されたため。

ヤマト運輸「宅急便の運賃変更」

ヤマト運輸では2017年10月1日から、宅急便の運賃を値上げしています。


広告宣伝費に関しては、今四半期から急激に増え、15億円にまで達しています。

決算説明資料の説明をみると、どうやら『ZOZOSUIT』の大量配布が広告宣伝費として計上されているようです。

そのほか、プライベートブランドの開始にあたって開始した広告費なども増加要因となっています。


その他の要因としては、「人件費」と「その他」販管費があります。

人件費については、プライベートブランド事業の人員を1年前の18名から61名に増やしたほか、エンジニアを210名(前年同期は128名)にまで拡大。

また、海外法人の連結化により、海外法人の従業員23名も追加されています。


「その他」販管費が増えた理由は、『ZOZOSUIT』の最初のバージョンを清算するための費用と、その後の改良研究の成功報酬を支払ったためとあります。


今期の目標は前年度から49.3%の売上増

ここまでで、スタートトゥデイの利益率が下がった理由については理解することができました。

それでは、今後についてはどうでしょうか。


今期の目標は、商品取扱高で33%成長、営業利益率は22.4%を目標としています。

今四半期は取扱高が前年から18%の増加にとどまっています。目標を達成するには、4Qの取扱高を1000億円の大台に載せる必要がありそう。

営業利益率については今回の決算が22.1%なので、一時費用がなくなることを考慮すれば余裕で達成できそう。


さらに驚くのが売上高で、49.3%もの成長率を目標としています。

今期はプライベートブランドで200億円の取扱高(=PB売上)を目指し、なおかつ広告事業で30億円を売り上げるとしています。

広告事業は、今年発表された中期経営計画の中でも盛り込まれている新規事業です。

『ZOZOTOWN』『WEAR』などで広告スペースを設け、1年目は30億円、3年目で100億円の売上を目指すとしています。

取扱高が3600億円になれば、その3%として108億円の売上ポテンシャルがあることになります。


今四半期から新たに240億円を借入

業績好調によりスタートトゥデイの株価はスカイ・ハイとなっており、時価総額は1.4兆円にまで達しています。

現時点での総資産は669億円で、そのうち現預金は178億円あります。

わりとキャッシュリッチなイメージがありましたが、今四半期から240億円を借り入れており、ネットキャッシュはマイナス62億円に。

(ネットキャッシュ:手元現預金から借金などを引いた実質のキャッシュ残高)


ZOZOの前澤社長といえば、かなりマイペースに生きてるイメージがありますが、高い目標に向けて大きな勝負を仕掛けていることが分かります。

2021年3月期までの目標は、商品取扱高で5150億円、営業利益で900億円というとてつもない成長です。

営業利益の拡大ペース目標が常軌を逸しています。


これほど大上段に構えている国内インターネット企業は他にあまりありません。

今後は海外展開も見据えている中で、スタートトゥデイ(ZOZO)がどう成長していくのか目が離せません。