不動産業界初、仮想通貨を発行!投資用不動産の販売で成長を続ける「シノケングループ」とは

シノケングループ

投資用不動産の販売を行うシノケングループについて見ていきたいと思います。

ホームページより

創業者の篠原英明氏は1965年生まれ、福岡県出身。

高校卒業後は出版社に勤めながら不動産関係の専門学校に通い、新日本不動産に転職。

入社後は営業不振の店舗を再建させるなどの活躍をしました。

1990年、25歳という若さで(株)シノハラ建設システムを福岡に設立。

資産運用型アパートの販売事業とLPガスの小売事業を開始しました。

1999年に金融・保証関連事業を開始。

事業拡大に伴い、2001年に東京オフィスを開設。

2002年にジャスダック上場。その後、名古屋、札幌、仙台へと事業エリアを拡大していきます。

2009年には中国人投資家の日本国内の不動産への投資に対する需要に応え、香港・上海の法人を子会社化します。

2012年に介護事業を開始。2014年には創業100年以上の老舗ゼネコンである小川建設を子会社化。

海外展開も進めており、シンガポール(2014年)、インドネシア(2016年)に進出しています。


・電気、民泊、ブロックチェーンに参入

2017年には「シノケンでんき」の販売を開始し、電力の小売事業に参入しています。

さらに、民泊事業やブロックチェーンにも乗り出しており、2017年12月には仮想通貨「シノケンコイン」の発行を決定しています。

不動産業者では前例がなく、家賃、電気、ガス代などの支払いに使えるシノケンコインは2018年春に発行予定となっています。(現段階で発行はされていないですが…)

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シノケングループの業績推移を見てみましょう。

2011/12期での売上高は198億円でしたが、2017/12期では1059億円まで拡大。

経常利益も増加しており、2017/12期では122億円となっています。


ここまでの急成長を続けているシノケングループとは一体どんな会社なのでしょうか。

今回のエントリでは、シノケングループの事業内容と決算数値を踏まえ、今後の展望まで見ていきます。


シノケングループのフロー+ストックビジネス

シノケングループの事業は、「不動産販売」「不動産管理関連」「ゼネコン」「エネルギー」「介護事業」「その他」の6つに分類されます。

① 不動産販売事業

シノケングループの中核事業であり、サラリーマンや公務員向けに投資用アパート・マンションの企画・開発・販売を行っています。

「土地がなくても、自己資金が少なくてもアパート経営はできる」という一見すると怪しげなキャッチフレーズを掲げています。

実際、顧客の40%ほどが自己資金500万円未満という少額資金でアパート経営に乗り出しているとのこと。

どうしてこんなことが可能になるかというと、シノケングループが連携する金融機関を紹介し、ローンを組むことができるから。

また、物件自体は非常に厳選されており、シノケングループ自身が選定・購入した土地にアパートを建設し、一緒に販売しています。

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主要都市で駅から徒歩10分以内と、入居者が入りやすい不動産を購入しているのが強み。

地域別の引き渡しシェアを見てみると名古屋が32.8%一番高く、東京圏29.3%、関西16.2%と続いています。


決算説明資料

このように、「収益性の高い不動産物件を提供できること」をベースとして、自己資金の少ない個人でも比較的有利な条件で資金を調達できる、というのがシノケングループが持つ強みです。

ちなみに、取扱物件の9割近くは新築です。

②不動産管理関連事業

不動産物件を販売したあとは、入居者の募集、家賃回収からメンテナンスまで、賃貸住宅の経営をサポートしてくれます。

また、分譲マンション管理やビルメンテナンスなどの建物管理や、入居者向け家賃の債務保証、家財保険などの保険も販売しています。

③ゼネコン事業

法人・個人・官公庁等に対し、マンション・オフィスビル・公共施設などの企画・設計・施工を行っています。

新規建設だけでなく、リノベーションやリフォーム事業も行なっています。

④エネルギー事業

主にシノケングループが販売した賃貸物件の入居者に対して、LPガスの小売販売を行っています。

また、電力の自由化に伴いシノケンでんきの小売販売も開始しています。

⑤介護事業

介護・医療サービス事業者と提携して、「高齢者安心ケア付賃貸住宅」「サービス付高齢者向け住宅」「デイサービス」「認知症対応型グループホーム」を提供しています。

⑥その他

海外事業として上海、シンガポールでは不動産の賃貸・売買仲介事業、インドネシアでは建設関連事業などを行っています。


フロービジネスを入り口にストックビジネスを展開

シノケングループは、不動産を販売してしまったら終わりではなく、そこから不動産管理や保険、ガス販売などを組み合わせることで継続的な収益を実現するモデルになっています。

事業ごとの売上を見てみましょう。

不動産販売事業795億円と大部分を占めており、売上高は増加しています。

ゼネコン事業135億円、不動産管理関連事業102億円と不動産販売に比べると売上高は小さいものの、年々増加しています。


シノケングループでは売上が増加した要因は、不動産販売事業の拡大ゼネコン事業の買収によるものであることがわかります。

不動産販売事業の売上の内訳を見てみましょう。

2015年からアパート販売の売上が増加していることがわかります。

2015年には税制改正により相続税基礎控除の縮小があり、節税目的のアパート建設需要が増加したためだと考えられます。

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不動産管理戸数は賃貸27,358戸、分譲マンションが5,361戸にのぼり、そのうち98%近くの入居率を誇っています。


財務状況:営業キャッシュフローは黒字化

シノケングループの財務状況を見てみましょう。


資産

2017年12月末時点において、総資産909億円のうち、現預金235億円となっています。

不動産販売業のため、完成済み物件(販売用不動産)286億円、仕掛かり物件(不動産事業支出金)192億円と半分が棚卸資産となっています。


負債 ・純資産

2017年12月末時点において、資本金と資本剰余金の合計16億円と少ないですが、利益剰余金は250億円と順調に積み重なっています。

借入金をすごい勢いで増やしており、直近では460億円。

D/Eレシオは1.7倍となっており、2014年12月末時点ではD/Eレシオは2.7倍だったので、ここ3年間の比率としては減少傾向にあります。


キャッシュフロー

2017/12期において営業キャッシュフロー24億円、投資キャッシュフローマイナス14億円、財務キャッシュフロー90億円となっています。

2014/12期から2016/12期まで営業キャッシュフローはマイナスとなっています。

純利益は増加しているものの、たな卸資産が大幅に増加していることがその理由です。

営業キャッシュフローが増えないために財務活動(借入金など)で補填するという形であり、資金繰りはそれほど良いとは言えません。

株価は上昇傾向にあり、時価総額は649億円に達しています。

現預金や借入金を考慮すると、評価額は873億円。

経常利益122億円の9倍と、一見割安にも見えますが、キャッシュフローがマイナスである点がやはり気になります。


国内事業の新たな一手!不動産ファンドを設立

最後にシノケングループの売上目標を見てみましょう。

決算説明資料

2020/12期では1500億円の売上を目標としています。

2017年(売上1059億円)と比べると、41%ほどの成長が必要であり、引き続き伸ばしていくことを目指しています。


売上目標を達成させるための成長戦略について見てみましょう。

決算説明資料

既存ビジネスの強化海外事業構築とM&Aを成長戦略の柱としています。

まずは、既存ビジネスの強化から見てみましょう。

決算説明資料

今まではサラリーマンや公務員向けに土地と不動産の販売を行なっていまたが、投資家向けの不動産ファンドを立ち上げています。

不動産ファンドに30億円ほどの投資用アパートを売却して、シノケングループで賃貸住宅経営の運用を行うので、完成済み物件で売れ残っている棚卸資産があれば有効活用できることになります。


続いて、海外事業とM&Aです。

決算説明資料

日本同様に土地を仕入れてアパートを建設し、販売後は賃貸住宅管理の運用を行うモデルを構築しようとしています。

日本での施工は主に小川建設が行なっていましたが、インドネシアでは子会社化したムスティカ社が行います。

インドネシアは2015年から外国人の不動産所有が認めらたので、不動産投資の需要も増えていると考えられます。

日本に続き、インドネシアでも不動産販売から管理までの事業を構築できれば大きな柱になりそうです。

フロービジネスからストックビジネスへと繋げているシノケングループ。

仮想通貨、民泊事業、海外事業といった新規事業への種まきも積極的に行なっているので、今後どうなっていくのか楽しみです。