マドンナやクリロナを広告塔に起用!腹筋トレーニングギア「SIXPAD」で知られる「MTG」が新規上場

世界的なプロサッカー・プレイヤーであるクリスティアーノ・ロナウド選手が広告塔を務めることで嫌でも(?)目に入っていた「シックスパッド」の会社が新規上場することが発表されました。

会社ホームページより)

会社名は「MTG」。

創業者の松下剛氏は、長崎県の五島列島出身。

五島列島はここです。

Googleマップより)

4人兄弟の末っ子として育った松下氏は、中高生時代にはお金を稼ぐ方法を考えて実践していました。

新聞配達を行なったほか、「パンダうさぎ」やニワトリを仕入れて売るというビジネスも始まるなど、若い頃から起業家精神に富んでいたようです。

日本一の会社が「トヨタ」であることから、中学生の頃から「いずれ名古屋で起業する」と宣言していたそうで、実際に1993年、23歳のときに愛知県で起業。

中古車販売オートサービスブレイズを創業したのち、1996年に設立したのが「(株)エムティージーブレイズ」です。

2004年12月には水の宅配販売サービス「宅配便のキララ」を開始。

2009年2月には化粧品製造販売業の許可を取得したほか、美容ローラー『ReFa』を発売。

2014年2月には大スター、マドンナとの共同開発化粧品ブランド「MDNA SKIN」を発売。

同年7月にはクリスティアーノ・ロナウド選手との共同プロジェクトを開始し、2015年7月に腹筋を鍛えられる「SIXPAD」を発売。

2017年4月には浅田真央をブランドパートナーとして採用し、ウォーターサーバー「Kirara」を開始。


過去5年間の業績推移を見てみましょう。

2017年9月期の売上高は453億2500万円、経常利益は61億2000万円。ものすごい勢いで会社を成長させていることが分かります。


今回のエントリでは、腹筋を鍛える「SIXPAD」を販売するMTGが、どのようにして453億円もの売上をあげているのか、決算資料を紐解いてみたいと思います。


MTGの主要製品ブランド:最も売れているブランドはどれ?

沿革を見ればおわかりのように、MTGはかなり多くの製品・事業を展開しています。

ただ、現在は美容と健康(Beauty・Wellness)をテーマにしたブランド商品の開発、という形で一貫しており、開発した商品をさまざまなチャネルで販売しています。

主な商品ブランドは以下の3つ。

① ReFa

2009年に美容ローラーとして販売開始したブランドです。

現在は、美容ローラーだけでなくコスメ商品やコラーゲンドリンク、頭皮ケア製品も展開。

グローバルアンバサダーとして、中国人女優のファン・ビンビン氏を起用。2010年ごろに放送されたサントリーのCMで出てきた美女として記憶している方も多いかもしれません。

2016年にはフォーブズによるランキングで、世界で五番目に稼いだ女優としてランクインするなど、世界的にも活躍しているようです。

② MDNA SKIN

二つ目は、世界的大スターのマドンナを開発パートナーとして開発している化粧品ブランド「MDNA SKIN」です。2014年に開始。

2017年にはアメリカ、2018年には中国、韓国、シンガポールにも進出しているとのこと。

③ SIXPAD

そして三つ目は、クリスティアーノ・ロナウドを広告塔に起用している「SIXPAD」です。

2015年7月の販売開始から2年間で累計100万台を販売という大ヒット。

2017年4月にはIoT機能も搭載したとのこと。


以上の三つ以外にも、『PLOSION』『Obleu』『INBEAUTE』『Style』『PAO』『TAIKAN STEAM』など、美容と健康にまつわるブランドを多く展開しています。

また、ウォーターサーバー事業として「Kirala」も展開し、浅田真央氏を起用しています。


製品ごとの売上を見てみましょう。

2017年9月期は『ReFa』が圧倒的に大きく、246億円を売りあげています。

『SIXPAD』は95億円の売上。

MTGの報告セグメント:あらゆる販売チャネルを駆使

MTGの報告セグメントは、おもに販売チャネルごとに6つ定義されています。

①リテールマーケティング事業

一つ目のチャネルは、量販店事業者への卸売や、カタログ・テレビ通販事業者への卸売販売で、「リテールマーケティング事業」として分類されています。

②ダイレクトマーケティング事業

二つ目は、自社ECサイトからの直接販売と、インターネット通販事業者への卸売からなる「ダイレクトマーケティング」。

③ブランドストア事業

三つ目は、百貨店や免税店への卸売と、自社の小売店舗を通じた消費者への直販からなる「ブランドストア事業」。

④プロフェッショナル事業

四つ目は、美容サロン、エステサロン、フィットネスクラブなどを対象とした卸売です。

⑤グローバル事業

海外のインターネット通販事業者、美容専門店、百貨店向けの卸売も行なっています。

⑥その他事業

ウォーターサーバーの提供や天然水の販売などの新規事業、創業時から行なっている中古自動車の販売などは「その他」に分類されています。


6つのセグメントごとの売上高を見てみましょう。

あらゆる販売チャネルで売上が伸びていますが、なかでもグローバル事業は2018年9月期の上半期だけで104億円と、爆発的に伸びています。

国内だけかと思ったら、海外でも伸びているようです。

2017/9期の実績では、日本の売上が339億円に対してアジアが112億円。グローバル事業の売上はほとんどアジアでの売上のようなので、今期は200億円を超える勢いです。


セグメントごとの利益も見てみましょう。

グローバル事業の利益は、上半期だけで24億円と、前年から大きく増加しています。

これまでは、量販店への卸売を行う「リテールマーケティング」とオンライン直販などを含む「ダイレクトマーケティング」の二つが稼ぎ頭であったことが分かります。


財政状態

すごい勢いで成長しているように見えるMTGですが、財政状態はどうでしょうか。

総資産は428億円ほどありますが、そのうち122億円は「土地」となっています。

現預金は49億円ほどで、棚卸資産(商品及び製品)が103億円ととても大きくなっています。


資産の源泉である負債と純資産の状況も見てみます。

利益剰余金が179億円と大きく、自社事業の利益を原資としていることが分かります。

借入金は131億円と、ここ2年で大きく増加しています。

2017年9月期に名古屋で本社建設用の土地(83億円)を取得しており、そのために資金を調達したということのようです。


キャッシュフローの状況も見てみましょう。

過去2年の営業キャッシュフローは35億円前後を稼いでいましたが、2018年9月期の上半期は32億円のマイナスとなっています。

営業キャッシュフローが減少した最も大きな理由は、棚卸資産(商品在庫)が44億円近くも増えているから。

あくまで季節的なものである可能性はありますが、これから注視したい項目です。

営業キャッシュフローに対して設備投資の金額がかなり大きいのも少し気になります。本社を建設しているため、一時的なものに止まる可能性は高いですが。


今後の展望

全体として「クリロナ腹筋パッドの会社、こんなにデカかったのか」というのが正直な感想です。

ただ、メーカーとしての性質上、どうしても設備投資の金額は大きくなりますし、製品の性質上、広告費などへの投資も尋常な額ではなさそう。

実際にはどうなのか、コスト構造を見てみましょう。

グループ全体の売上原価率は37%程度と、モノをつくって販売する会社としてはかなりの粗利率です。

ちなみに、パナソニックとソニー(金融部門除く)の原価率はどちらも70%前後です。


そして、心配している広告宣伝費は売上に対して今期(2018/9期)は7.6%と、意外にもかなり低い水準です。前年までも12%ちょっとと、それほど高くはありません。

絶対額では年間57億円と、非常に大きな金額です。

確かに、巨大な広告費を投下しているブランド数は限られているため、一人一人の広告費が大きくとも、商品がヒットすれば十分に元が取れそうです。

また、販売促進費にも年間30億円近い金額を注いでいます。

2017年9月期の「給与」合計は27億円なので、社員の給料よりも販売促進費の方が高いというほどにお金を注いでいます。


MTGの戦略は、「世界的な大スターを起用して、海外にも通用するブランド価値を創出し、卸売からインターネット直販まであらゆるチャネルで販売する」というなかなか真似できない代物です。

中でも、中国での売上が35億円、韓国が57億円と、見事な海外展開を成し遂げています。

『ReFa』はすごいですね。中国で28億円、韓国で53億円。

一方の『SIXPAD』は95億円中、93億円が日本国内と、海外展開はまだまだこれからという印象。


フィットネス製品ということもあり、個人的には胡散臭いなと思っていましたが、海外でここまで通用しているというのは驚異的です。

代表の松下氏は、胡散臭いと思われるのを予測していたため、大学や医療機関にも協力してもらったとのこと。

マドンナとの契約にたどりつくのも大変で、「どういう生き方をしているのか」という哲学的なヒアリングから3年以上かかったそうです。

クリロナにも2回断られたが、最終的には製品それ自体に興味を持ってくれたとのこと。

2人との契約は特に重要なようで、それぞれの契約会社を通じてストックオプションも割り当てています。

「BoyToy」がマドンナ、「CRS HOLDINGS SARL」がクリロナですね。


今後は、マドンナやクリロナのスター性を頼りにしつつ、さらなる海外展開を進めていくものと思われます。(一番売れてるのは『ReFa』ブランドですが)

日本のベンチャーでこんな会社は他にないですから、純粋に今後どうなっていくのか楽しみだなと思いました。


参考資料

全ては、ふるさとへの恩返しから始まった

マドンナの化粧品!? ロナウドの運動機器!? 奇想天外の商品続々、株式会社MTG代表取締役 松下剛さんの口説き術