過去最高益に迫る業績拡大中!唯一の非同族系スーパーゼネコン「大成建設」

今回は大成建設(1801)をご紹介します!

スーパーゼネコン5社の一角で日本を代表するゼネコンです。

ゼネコンのトップに君臨しスーパーゼネコンと呼ばれるのは、大林組、清水建設、鹿島建設、竹中工務店、大成建設の5社です。

ゼネコン業界ではこの5社が売上1兆円を超えていて、6位以下とは大きく売上規模で差がついています。

スーパーゼネコン5社の中でも、竹中工務店は唯一の非上場企業です。

竹中工務店の企業理念は「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」ことで、事務系・技術系にかかわらず、手掛けた建築物を「作品」と呼んでいます。

残る4社は上場しています。

長谷工コーポレーションは、業界6位ですが売上高は8,000億円以下で第5位の竹中工務店とは大きく差が開いています。


さて、今回の記事では大成建設の特徴について掘り下げていきましょう。



大成建設は建設業界では数少ない非同族企業

大成建設は同族企業が多い日本の建設会社の中では数少ない非同族企業です。

これはかつて財閥系企業(大倉財閥)であった大成建設が、第二次世界大戦後に財閥解体が進められる中、社員が株主となり役員も社員選挙で選ぶことで企業存続を図った結果です。

大成建設を除く4社では、創業家による経営関与が続いています。

建設業というのは基本的に請負の仕事であり、個人の業績が見えにくいことから、社内で権力闘争が起きると揉めやすいということがあります。

そのため、オーナー家の人間を御輿に担いだほうが都合がいいという判断が働くこともありそうです。

竹中工務店は竹中藤右衛門氏が創業して以来、2013年まで5代にわたって竹中家の社長が続いてきました。

2013年に初めて竹中家ではない宮下正裕氏が社長となりましたが、代表取締役CEOには前社長の竹中統一氏が就任しています。

大林組は初代から3代までの社長を大林家一族が務めました。

その後、1989年から現在の7代目までは大林家以外から社長に就いています。

ただ、現役員の名前を見ると、代表権を持つ会長を大林家の大林剛郎氏が担っています。

鹿島建設では1990年まで社長を務めた8代目まで、ずっと鹿島家から社長を出していました。

ただそれ以降は、鹿島家以外のトップが続いています。

建設事業ってどんな仕事なの?建築ビジネスの特徴

建設事業は大きく「土木工事」「建築工事」に分けられます。

土木工事は、ダム、トンネル、橋、道路、鉄道など社会資本整備にかかわることが特徴です。

建築工事は、オフィスビル、マンション、学校設備などのほか、音楽ホールや水族館など特殊な建物も手がけます。

大手企業は建設事業に加え、開発事業を主たる事業としています。


製品のすべてが単品、受注生産である点が他の産業と大きな差です。

工場でものを作るのと異なり、生産現場が常に屋外で場所が一定することはありません。

そのため、天候や周辺環境の影響を大きく受けます。また、建物などが大きいことから完成までに長い期間がかかる点が特徴です。

大手企業が手掛ける開発事業

自ら土地や建物の分譲、賃貸を行うだけでなく、不動産事業を手掛ける他の事業者を手伝いして工事受注につなげる点がゼネコンの開発事業の特徴です。

このような形で、行われた土地の売買や自社による分譲・賃貸の収入が開発事業の売上になります。

市場規模と業者数

建設業界では、需要の目安として建設投資を用いることがほとんどです。

2015年度の国内建設投資は約51兆円、建設許可業者数は約47万社です。

平均売上高は1億円程度で中小建建設業者が圧倒的に多いことがわかります。

約47万社のうち旧日本建設業連合会法人会員企業である大手建設会社は48社に過ぎません。

大手建設会社の受注総額は約13.1兆円です。

大手建設会社の1社あたりの平均売上高は2,700億円と全体の平均売上高と比べると規模が大規模である点がわかります。

業績の変動要因はなにか?

受注事業である建設業は、期初の計画値には前期末時点の繰越工事が大きく影響します。

そのため、他産業に比べて期初計画からの変動幅は小さいといえます。

ただ、すべての売上高が期初の繰越工事の完成によるものではありません。

期中に受注し期中に売上計上される工事は計画時点では未確定な部分が多いため、計画値から変動する可能性が小さいといえましょう。

また、開発事業の売上・利益は建設事業に比べると変動幅の大きくなる要素といえます。

代表的な建造物は?

日本には最近海外からの観光客が急増していますが、浅草寺風神雷神門は大成建設によるものです。


商業施設では六本木ミッドタウン(イースト棟、ウエスト棟)が有名ですね。


大学関係では、慶應義塾大学三田キャンパス南館があります。


2012年以降業績は拡大が続いている!

大成建設の業績は大きく拡大しています。2012年以降円安局面となったことで国内の建設需要が拡大したことが業績拡大の背景にあります。

特に営業利益は09/3期には7億円の赤字でしたが、17/3期は1,407億円にまで拡大しています。

利益拡大の背景には利益率が大きく改善したことがあるのがわかりますね。


国内建設市場の改善による利益率改善が業績拡大の要因

大成建設の収益構造の変化を見てみましょう。

利益率の改善の理由は売上原価率の改善にあることがわかります。

建設現場におけるゼネコンの社員の主な仕事は、専門工事業者の指揮・監督を行うことで、工事の安全・工程・品質・コストの管理を行っています。資材や労務の調達も行います。

そのため建設コストの80%以上が材料業者や専門工事業者へ外注の形で支払われます。

売上原価率の改善は、これらの現場でも業務が効率的になってきている=各案件の利益率が改善してきているのではないかと考えられます。

2012年以降、円安に為替相場がシフトしたことなどもあり、国内建設需要の増加で、各社が好採算案件を受注しやすくなっていることが背景にあるのではないでしょうか。

また、2011年の震災後、復興需要や再開発などで工事量が急増したため、それに伴う工事コストの上昇で収益が圧迫されてきた状況から脱却したことも利益率改善の原因の一つでしょう。

セグメント利益は全般的に改善しています。

開発は案件の有無でブレがありますが、主力の建設と土木が15/3期以降拡大傾向で推移してますね。

主力の建築、土木ともに収益性は改善傾向です。

背景には日本の建設投資が2010年をボトムに回復に転じたことがあります。

つまり、需要拡大によって採算性を重視した受注を行うことが可能になったということです。


財政状態

業績拡大に伴って資産サイドも拡大傾向です。


内訳をみると、現金同等物(手元資金)は潤沢です。

流動性が高く、自由に使うことができる現金同等物の増加は評価できると考えます。


負債、純資産サイドを見てみましょう。

利益の拡大を背景に純資産は安定的に拡大。一方で、有利子負債(短期借入金+長期借入金)は大きく低下しています。

11/3期には30%を超えていた総資産に占める有利子負債の比率は17/3期には10.9%まで大きく低下していますね。

一方で自己資本比率は11/3期の17.6%から17/3期には31.8%まで改善しています。

キャッシュフローも見てみましょう。

フリーキャッシュフローはプラスで推移しています。10/3期以降はフリーキャッシュフローがマイナスになったことは1回もありません。

10/3期と14/3期には投資キャッシュフローがプラスになっていますが、ともに有価証券などの売却により200億円を超える資金増があったことが要因です。

株価は上場来高値の6,000円に迫るが更なる利益率改善ができるかがポイント

大成建設の株価は2013年以降2,000円を超えてから3倍以上の6,000円に迫る水準まで上昇しています。

背景には日本国内の建設需要が拡大に転じたことなどがあるのはすでに述べたとおりです。

これからは、

①9.5%(営業利益率、17/3期)と二けたに迫るまで改善した利益率をさらに改善できるか?

②2020年の東京オリンピック後の建設需要がどうなるのか?

が株価を見る上では重要になってくると思います。

16/3期から続いている過去最高益更新が18/3期以降も継続するかも重要です。

過去最高益更新局面にある大成建設の今後の動向を注目していきたいと思います。